大阪料理会│第八回の様子

  今回は7種の素材がお題。担当するは『辻調理師学校』の先生2名。「正直、赤エイなど縁の無い食材が多く苦労しました」という。中でも先生たちを悩ませたのが赤エイ。「エイヒレなどは酒肴として、特徴的なコラーゲンは煮こごりにするのが常ですが、エイの身を存分に愉しんでもらうよう工夫した」と供されたのは焼き物。身がパサパサにならないよう、しっとりと仕上げるために試行錯誤。その中で「最大の課題は臭み」と言うように、絞めると体内に持つ尿素がアンモニアに変わり悪臭を放つ素材に対して、フランス料理を参考に"クールブイヨン"の技法を用いた。その結果「身に味がしっかり入り、また多めの油で皮目がパリパリに仕上がっているのがよい」と上野修三さん。他にも「完成度高い」との評が多い中にも、「肝の使い方も知りたかった」との声も上がった。
  今回のレシピにおいて、「あ・ら・こんそめ」にみるコンソメをつくる技法や、中国の蒸しの技法、ピーナッツ油の香ばしさを注ぐ広東料理の仕様、マディラ酒やクリームチーズなど洋食材を用い、洋の要素があるレシピが多かったことから「大阪料理らしさはどこか」など疑問の声も多く寄せられた。それに対して上野さんは「総括すると"和魂"に終始したプレゼンだったのではないか」とコメント、大阪料理五箇条に上げられる「海外料理からその技を学び入れるのも良いが、模倣でなく必ずや、和魂をもって日本の姿、味に仕上げることが大事」と説いた"和魂を持つ"について、参加者は改めて"和魂"についての解釈を深めたようだった。
  また恒例となった醤油セミナーのお題は「しょうゆの効用について」。意外に知られていない、香り成分が生臭さを消す<消臭>、香ばしい芳香を引き出す<加熱>、大腸菌や食中毒菌を死滅させる<静菌(殺菌)>、甘味を一層引き立てる<対比>、塩辛さを抑えられる<抑制>、イノシン酸に合わせることによって旨みが増す<相乗>、だしとともに素材の持ち味を生かし、塩分をひかえることができる淡口醤油の調理特性<減塩>、赤ワインに比べ約10倍もの強い<抗酸化>作用を持つなど、各項目詳しい解説が、ヒガシマル醤油(株)研究所・真岸範浩さんからあり、参加者は改めて知識を深めた。
  その他、今回から質疑応答に匿名で記入するアンケートを採用。料理一品ごとに記入、活発な意見交換が行われ、今までになかった"食感""店での供し方のイメージ"など普段より違った質問などもあった。参加者から「完成度が高かった」「工夫が見え勉強になった」「今日のレシピを持ち帰って自分流にしてみたい」との意見が多く、学び多い回となった。

第八回大阪料理会の様子