上野修三さん

  「前菜」という概念が通じなくなっていることが気になっている。知っていてやらないのはいいが、知らないのは具合が悪いと考え、今年から「旬、季節」を知ってもらうための勉強の機会にしてもらえるように工夫した。会の形式も、個人ではなくグループとしての意見なら言いやすいであろうと、今回からアイランド形式にしたところ、ユーモアのある個性も出始めた。皆さんのおかげで大阪料理会はどんどん良くなっていると感じている。人数が多いと、ひとりで考えていては出てこないような、驚くような意見も出る。ぜひお店で参考にしてほしい。今後とも、料理を作る側はヒントを与えるつもりでやり、食べる方はそれを元に自分なりに考える、そのための場だと思って活用してほしい。

畑 耕一郎先生

  1年前の立ち上げ当初は、会場や設定に頭を悩ませたものだった。作り手より食べ手が率直に意見や批評を言えるかどうかが鍵だと思い、工夫してきた。顔なじみになり気心がしれるようになってきた初夏から積極的な意見も出始めた。私はもっとドギツイ意見があってもいいと思うが(笑)。例えば、「うちの店ではこうしている」「私ならこうする」という意見を言い合えば、2〜3の新しい仕事を全員が覚えて帰れるはずだ。今年から机の配置をアイランド形式にして、より意見が言いやすくなったのではないかと思う。ともかく1年でここまでの形になって良かった。意義ある会に育ってきたと感じている。これからもより積極的な意見交換を期待している。

第十三回大阪料理会の様子

料理のことば

「刺身と造り」
解説: 辻調グループ校日本料理主任教授 畑 耕一郎生

「いずれも魚介類を生のまま切り身にして醤油、酢味噌などの調味料に、ワサビやショウガなどの薬味を合わせて食べる料理のこと。語源は諸説ある。平安の時代から贅沢に一人に一尾の魚を用いている証しとして、盛り付けに尾ビレや胸ビレを刺したことから「刺身」という言葉が生まれたというのが一説。また、関西では、江戸以降、鯛などの海水魚は「作り身」と表現されていた。「作る」は「調理」を意味すると考えられる。現在では、刺身と造りの明確な使い分けはないが、視覚的にキレイに盛り付けたものや薄く切って花形に見立てたものは「造り」の表現が多いようだ。