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大阪料理会とは 組織メンバー 今月の大阪料理 活動レポート
今月の献立 〈第25回〉
2013年 1月
第3期目に入った大阪料理会。前相談役であった畑 耕一郎氏が会長として就任し最初の定例会となった。今回からは前期とは異なり、料理を担当する料理人は2名。各自が前菜料理と旬の食材をテーマとした料理2品を披露する形式。また今期から前会長の上野修三氏が相談役となり、「大阪料理の道」をテーマとする新設コーナーを担当いただく。当会の基盤ともいえる「大阪料理はどうあるべきか」について、心技にわたる指導が開始された。


古賀志郎さん 古賀志郎さん
ハイアット
リージェンシー大阪
「彩」

お店HP
今村規宏さん 今村規宏さん
割烹 伊万邑
古賀志郎さんの献立 今村規宏さんの献立 撮影/藤澤 了 文/笹井良隆

◆2月の前菜テーマ/節分

【料理名】平成邪気払い、節分三種盛

・平成邪気払い
・稲荷寿司
・鰯の焼き葱南蛮煮
・蒟蒻粉鰹煮


「平成邪気払い」は、節分に鰯を食べ、玄関口に柊を刺すなど、鰯の臭いと柊の棘で邪気払いを行ってきた、そうした風習と関東や東北に同様な食で邪気を払う形を大阪的にアレンジしたもの。鰯の代わりに強塩した真魚鰹と炒り大豆、そして大根や人参を使っている。また真魚鰹はあえて小ぶりなものを使うことで骨まで食べられる煮込み粕汁といった料理に仕上げられている。「節分三種盛」は、麻の実を使った昔ながらの稲荷寿司に、鰯を難波葱と共に焚く焼き難波煮に、蒟蒻粉鰹煮は昔の凍み蒟蒻をイメージし冷凍庫を使って再現させたものとなっている。昔の食材に目を向けた試みといえよう。


◆1月のテーマ食材/蔬菜篇「自然薯」、魚介篇「真魚鰹」

【料理名】真魚鰹つみれ鍋

この時期、大阪湾近海で多く獲れる少し小ぶりの真魚鰹。これをつみれとして鍋物に仕立てるといった料理。青物としては天日干しした田辺大根の茎葉を使用。真魚鰹を卸し薄塩する。身と共に骨をフードプロセッサに。これに木綿豆腐、自然薯などを加え、つみれ地を作り、昆布出汁に淡口醤油で調味した鍋に摘み入れ、つみれ団子とする。旨出汁を張った土鍋に移し、白葱と干し刻んだ田辺大根と共に火にかけ、柚子やおろし生姜などで供する。旬の真魚鰹をすべて食べ尽くし、その出汁で冬の野菜の持ち味を引き出そうという狙いがある。

【料理名】自然薯と蕎麦米のおやき

湯がいた蕎麦米と、皮をむかず直に炙り摺り下ろした自然薯を合わせ「おやき」を作り、これにヒガシマル醤油の淡口醤油で下味をつけ、これをフライパンで炒め、おやきそのものを椀種とする。これに一番出汁を張り、大阪産の生海苔を加え、葛餡をかける。仕上げに山葵を天盛としている。自然薯を蕎麦米と合わせることで新しい食感や食味を産みだしている点が注目される。




【総評】

先ずは前菜料理だが、平成邪気払いは大阪好みの食べる粕汁として仕上げられている点に高い評価がなされたものの、関東以北の「しもつかれ」という食文化をイメージしたものとしている点には、大阪料理会として取り上げるのは相応しくないとの意見があった。前菜の中に求められる季節感、地域性をどのように大阪料理に生かすべきかの議論もなされた。
また三種盛については、各々が良い意味では玄人好みの料理だが、料理屋として客に出す料理としては完成度がまだまだ低い、との批評もあった。テーマ食材に関してだが、「自然薯」のおやき料理そして「真魚鰹」のつみれ鍋、いずれの料理に対しても客への供し方への質問が多く出された。
評の締めくくりに畑会長からは、アイデアはユニークで非常に独創性の高いものだが、商品として仕上げるための工夫が不十分であったのが残念。しかし今後の完成度の高さが期待できるものであると総評がなされた。

  シーン1 シーン2



【上野修三相談役からの提言】前菜料理

「八寸などもそうですが、時代と共に本来の在り方が忘れ去られ名前だけのものとなっています。
今一度、大阪的な前菜とはどうあるべきかを考えたい。そのためには季語を学び俳句などに親しむことも必要。
また前菜という「型」は1軒が行い守るのではなく、大阪の日本料理店が皆で守る培っていくことが大切やと思います」


◆二月前菜/テーマ「春近し」

【料理名】
「春待つ」春子鮓の独活巻き/細い棒鮓に独活柱の酢漬けを巻く
「下萌え」鶉の春雪焼/鶉挽肉の松風焼きに緑の卵黄・雪見立の卵白を重ねる
「藪つばき」花人参梅蜜煮/葩形人参蜜煮を花形に組む
「芽吹き」土持芽萱草/芽芽萱草を白味噌漬け。その味噌に赤玉味噌を混ぜ土色にし根元につけて盛る
「燗酒肴」いもこの/つくね餅卸しにコノワタ、備前猪口に盛る

◆大阪料理の道 ―― 抄 ―― その一

難波は日本の門口。諸文化は難波の津より上陸し、また海外の食も共に採り入れてきた。
そうしたところから生まれてきたのが大阪料理の礎ともあっている「和魂漢才」であった。「和魂漢(洋)才」とは、
和の心を以て海外の食文化の長所を採り入れ、日本料理の短所を補う、つまり才長補短の精神がここから生まれてきたのである。