今月の献立 〈第29回〉 2013年 5月 |
第29回の大阪料理会。2名の各会員によって選ばれた前菜テーマは、「入梅」と大阪夏祭りの皮切りともなる「愛染祭」。単なる前菜料理というだけでなく、前菜の中にいかに大阪的なる季節感を、そして事物や歴史を含めたものなどを盛り込めるか。回を重ねる事に深みを増すものとなっているようだ。また今回の大阪料理会では、大阪あべの辻調理師専門学校よりキャリア教育部長を迎え、「日本料理界をめざす若者の就労意識と現状」についての講演も行われた(模様は「活動レポート」にて)。スタッフの採用に関することから、細かな人材教育に到るまでを実例を交えながらの勉強会となった。 |
![]() 浪速割烹喜川 ![]() |
![]() 旬屋じょう崎 |
上野 修さんの献立 | 城崎 栄一さんの献立 | 撮影/藤澤 了 文/笹井良隆 |
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【総評】 先ずは前菜料理から。文銭蛸の緑吉野和えでは、蛸と胡瓜の相性の良さを再確認したとの声があがった。一寸蚕豆と河内鴨の白和え料理では、「白和え」技法に関心が集まった。城崎氏は木綿豆腐を蒸して水切りするという方法を紹介。白和えの豆腐は蒸しを入れるべきか、あくまで生を優先させるべきかなどで様々な意見が出された。またこの料理では針打ちした鴨を赤ワイン、酒、濃口、砂糖、ケチャップ、赤酒で焚いているが、この「赤酒」への質問が多くあった。元来は熊本特産の味醂酒のようなものだが強いアルカリ成分によって食材を柔らかくさせる特性があるようだ。鮑のカステラ焼きでは、鮑をミンチにするという大胆な発想に感心の声が集まった。 |
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