第8回「淡口醤油とスイカ」 

若鮎の西瓜淡口醤油焼き

島村 雅晴
雲鶴  

和歌山県出身。大阪の料亭で9年間勤務後、2005年北浜に懐石料理店「雲鶴」を独立開業。1012年に現在の天満へ移転。2022年、持続可能な食の未来実現に向け、料理人仲間と共にRelationFish株式会社を設立。低利用魚であるアイゴをシンボルとして、環境や食資源の減少、フードロスなどの問題解決に向け、啓発活動や商品開発等に取り組む。また、大学との共同研究や漁業関係者との連携構築など、ハイテクからアナログ的な手法まで、様々な角度から活動を行っている。

<島村氏>
夏のスイカを余すことなく使うことができないか。その発想から西瓜の汁と淡口醤油を合わせてみました。西瓜にはウリ独特の青臭さのようなものがありますが、これが淡口と合わせることで消えるのです。また西瓜の汁を煮詰めて淡口醤油と合わせたタレは、見事に照り焼きタレとして鮎にマッチします。

<真岸研究員>
スイカというのはほとんどが、水分と糖分とからできています。淡口醤油が持つおだやかな醤油風味は、西瓜の風味を消すこと亡く青臭さだけを押さえて、西瓜を生かしているといえるでしょうね。こうしたことの背景には「対比効果」があります。つまり、主体の味が強く、他方の味をわずかに加えることで主体の味わいがさらに強く感じられるというわけです。

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