・果実前菜 ・渡り蟹重ね 冷製仕立て

長内 敬之
旬鮮和楽 「さな井」  

・前菜
剣先烏賊ゴールデンキウイ挟み
鮎博多 揚げプラムソース
西瓜すり流し
葡萄 ブルーベリー 帆立の黄身酢和え
甜瓜(マクワメロン) 苦瓜 枝豆ずんだ 洋風最中

「盛夏の頃に爽やかで清涼感のあるフルーツは好まれますが、甘みが強いので扱いが難しい。あえてそこに挑戦し、若いお客様も興味を持ってくれる前菜を考えました」と長内さん。剣先イカは細かく庖丁を入れ、一晩昆布〆。ゴールデンキウイを白醤油・米酢・太白胡麻油で味付けしてアガーで固め、棒状に切ってイカに挟んでいる。「鮎博多」は、鮎のワタを蒸して一晩冷やし、脂を分離させて取り除き、温泉卵の卵黄に合わせたタレが肝。これを接着剤として身を重ね、中火で蒸してあられ揚げに。120℃のオーブンで1時間焼いたプラムのソースと蓼酢味噌で。「西瓜のすり流し」は、糠漬けにした風味が独特。「黄身酢和え」は冷凍卵の卵黄に砂糖・アンチョビ・酢・淡口醤油を合わせ加熱しながら煉り、62℃で30分湯煎にかけた帆立、マスカット、ブルーベリーと和えたもの。「洋風最中」にはマカロン生地を使用。中には、130℃で油通しし、八方だしに漬けた苦瓜、刻んだ甜瓜を枝豆衣で和えたものが入っている。

渡り蟹重ね 冷製仕立て

大阪の秋祭りといえば渡り蟹。本来の旬は冬とされるが、成長過程にある初夏からもまた妙味だ。とはいえ、ある程度値が張ることから、「野菜をたっぷり合わせて、リーズナブルに提供したい」と考えたのがこの一品。こちらはパフェスタイルだが、会員の試食用は、セルクルで抜いてテリーヌのように仕立てた。渡り蟹は20分ほど蒸して身をほぐし、カニミソと共に土佐酢で和える。合わせる野菜は、160℃のオーブンで30分焼いたセロリアック(根セロリ)、白味噌・柚子胡椒・レモン汁で和えたアボカド、八方地に漬けた糸瓜、揚げ浸しにした千両茄子。フルーツトマトは、種の部分を一晩かけて漉しトマトウォーターを取って、これをゼリーに。果肉は130℃のオーブンで2時間焼いて裏漉し、ピューレにしている。これらを層になるよう重ねて盛り(またはセルクルで抜き)、スプラウトを天盛りにしている。

総評

フルーツの甘みではなく酸味を生かす、という長内さんの前菜に、会員は興味津々。西瓜の糠漬けをすり流しに、というチャレンジには多くの質問と感想が寄せられた。「西瓜はどのように糠漬けに?」という質問には「あっさりめのフルーツ専用の糠床を作って密閉袋で個別に漬けてます」と長内さん。鮎とプラムの相性にも発見があった、との声も。畑会長からは、取り組みは素晴らしいとしながらも「キウイと合わせたイカは糸造りの方がより相性がよかったのでは? マカロンにはもう少し和の香りを立たせても良かった」との助言があった。「渡り蟹重ね」は、可憐な盛付けが好評。「焼いたセロリアックの風味がアクセントになっている」と、素材選びのバランスの良さを称える意見も多かった。長内さんの「若い子にはパフェ仕立てに。日本酒をお飲みになる男性客ならこの料理はお出ししないかな」という発表に、「割烹ならではの柔軟な発想。見習わないと」と、多くの会員が考えさせられたと話していた。畑会長が「素材のバランス感が見事だから、全部を混ぜ合わせて食べたい。僕が行ったらセルクルで抜いて出してください」と締めて笑いを誘った。

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