櫻鯛と春野菜燻製仕立て

辻 宏弥
法善寺 浅草  

櫻鯛を無駄にせずに燻製で花見料理に仕立てる

櫻鯛のシーズンにはそれこそ、 目の下三尺といった大物もいれば一尺にも満たないものまでいる。 大きさが味に比例するかといえば、 必ずしもそうではないところが天然の面白いところ。 ただ美味そうな大きさは確かにあって、 そうでないものが安値となるのが市場というもの。 大阪の料理屋としては、 この安値の鯛を有効に活かしていくことも求められる。 今回の試作はそのような櫻鯛を花見の季節に合わせた料理法のひとつとして披露された。花見に適した料理法には幾つかの条件が求められる。 そのひとつが、調理後に時間が経っても美味しく食することができること。 またもうひとつに保存性にもある程度優れていなくてはならない。 こうしたことから着目したのが燻製。 鯛を三枚におろし薄塩で〆め、 鯛のアラからとった出汁で、 切り身を霜ふりした後に竹皮へ。この火入れが鯛の味を深め、燻製後のしっとり感も保たせている。季節の野菜と共に竹皮ごとすべてを燻製するのがポイントとなっている

総評

「鯛が予想以上にしっとりと仕上がっている」 「竹皮ごとまとめて蒸す、 という発想が面白い。 食材を代えるだけでオールシーズン使えるのではないか」 といったコメントが寄せられた。 運営委員からは 「筍などはやはり味噌漬けするなど下味が必要だったように思う。 それとまとめて燻製にすると食材の燻薫の付き方がばらばらになるので、 もう少し工夫が必要では」 とのアドバイスがあった。

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