牛蒡すり流し端午 黒菜粽 柏寿司

山﨑 浩史
旬菜「山﨑」   

大阪の調理師専門学校在学中、曽根崎にあるアルバイト先の「八幸」でお世話になった板前の先輩に感銘を受け、日本料理人の道を選択。卒業後、堂島にあった「紬」の川下板長に6年間師事し、更に、西天満の老舗料亭「芝苑」で4年間修業。そして28歳の時に、出身地・吹田市に自店(現「旬菜山﨑 佐井寺店」)を開業しました。長年地域の方に支えられ、応援頂き、平成21年「旬菜山﨑 竹谷店」を開店。郊外という地域柄、年配の方や親子三代でのご利用なども多く、ご要望に応えて、ゆったりと座って頂けるカウンターや椅子席の個室をご用意している。

 歳時料理に地域の食材と料理法を活かす

大阪の菜物野菜として全国に知られているのが、 菊菜・しろ菜の二種。しかし明治期までは、 大阪には多くの菜物が存在していた。 そのひとつが大阪黒菜。 別名、 若菜とも呼ばれていた。 名前の由来は、冬時期になると寒さが増す毎に、 葉色が黒っぽく変色するところからきているようである。 また早春には高菜のごとくに急激に大きくなると葉茎に独特な風味を持つようになり、 菜から出る煮汁には出汁のような美味さが感じられる。 春蒔きもでき周年栽培可能で、 まさに大阪好みの菜物といえよう。本来は秋冬野菜として真価を発揮する黒菜だが、ここでは端午にちなんだ桜鱒の粽と柏餅仕立ての寿司飯にアクセントとして取り入れることで新たな食感と味を食べ手に与えている。 そしてもう一品が、 新牛蒡の擂り流し。 茹でた牛蒡をペーストにしているが、牛蒡の繊維感を全く感じさせない。 地にはあえてカツオではなく昆布を使い、 焼き玉葱から引いた甘みの強い出汁が使われている。 牛蒡らしさ、 という大きな魅力が丸茄子揚げ浸しと一体化し椀中に再現されているのは感嘆に値する。

総評

秋冬の菜物は、 初夏穫りするとなると薹立ちすることから、 どうしても収穫期間が短くなる。 山崎氏の発案でこれを陰干しした後に昆布〆し真空保存を行っている。 これを聞いた会員からは、 「菜物を干してから真空保存することで独特な食感が生まれるのは面白い。 一度試してみたい」 とする意見が聞かれた。また柏餅仕立てには、 「柏葉ではなく黒菜の葉で巻くとさらによかったのでは」 とするコメントが寄せられていた。

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