毛馬胡瓜(あかねこ)『三種盛』かさね寄せ親子素麺諸味のせ

広里 貴子
(有)貴重 

辻調グループ校の日本料理技術講師を経て(有)貴重を設立。ごちそうプロデューサー®
として、料理講習会や企業様・地域の食にまつわる協力、またドラマ・映画等の料理指導、コーディネートも長年担当。
持続可能な食を目指して料理人からつむぐRelationFish株式会社の取締役兼務
大阪料理と長年向き合う中で郷土料理と地元の食材の大切さ常に念頭に置いて活動しております。大阪料理を充実したものにするには温故知新が大切。メンバーと共に研鑽させていただいております。

大阪の食材を大阪らしい調理法で使い尽くす

関西には、 いわゆる三尺胡瓜といわれるものが多い。 奈良の大和三尺、 兵庫の宍粟三尺、 京都の笠置胡瓜そして大阪の毛馬胡瓜。中でも毛馬胡瓜は皮目の硬さだけでなく果肉の旨さで群を抜いているように思われる。 そんな毛馬胡瓜も7月に入ると種を多く持つようになり果肉も大きく肥大し色も青から黄、さらにら赤へと変化。 これを大阪府南部地域では 「あかねこ」 と呼んでいる。 農家にとっては売り物にならない出荷には適さない未利用野菜だが、 その魅力は捨てがたいものがある。 ここでは、 先ず果肉部を湯通しし、 皮に近い白い部分は生麹であかねこ麹を作り、 いずれも調味し寒天を使って 「かさね寄せ」としている。 さらに、 あかねこを千切りしたものを片栗粉と蓮根粉で素麺仕立てに、 汁に青 (若)い毛馬胡瓜の卸しを使い親子素麺に。 三品目は生麹を使った独自の 「あかねこ諸味」 に仕上げている。

総評

「夏らしいとても涼しげな料理」 「大阪の食材を大阪らしい調理法で仕上げているのが素晴らしい」 などの評が多く寄せられていた。 運営委員からは 「こうした昔の胡瓜には、魅力も多いが苦みも多い。 しかし今回の試作では、 その苦みを旨味に変えているところが見事」 という意見の他、 「ひとつの食材を余すところなく使い、 夏の終わりを予感させるようなその演出に魅せられた」とする感想などもあった。

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