城崎 栄一
旬屋 じょう崎
福岡県出身。神戸、奈良で修業後平成7年4月に吹田駅近くにお店を開業。魚菜の会で大阪産の食材を知り地元の吹田くわいなど伝統野菜、淀川天然うなぎ、能勢牛などを積極的に取り入れ会席と一品料理の両方を供する。スチームコンベクションを駆使して食材の最適な温度帯を探り現代的な日本料理と昔ながらの古典的料理を追求している。
五法を駆使し脇役の人参を主役に仕立てる大阪料理
日本料理における人参の扱いは少し変わっているといえよう。 これは人参特有の、 一般的な糖分とは違った風味を持つ甘味からくるもので、これまでにも単食を忌避する傾向があった。 つまりは主役にはならない食材とされてきた。 今回の試作ではその人参を五法 (煮・焼・蒸・揚・生) を駆使することでサラダ風な日本料理の一品として仕立てている。この料理の注目すべき点は、 人参の酵素を利用しているところにある。人参に林檎と玉葱、 そこに上白糖を加え一週間ほど寝かせ酵素シロップを作り、 これに淡口醤油に米油そして玄米酢で、いわゆる酵素ドレッシングとする。 人参は五法に則り、蒸して裏ごし饅頭生地をつくり、 人参の皮にたて塩をしたものを射込みこれを揚げている。 最後にこれを天火で焼いてから酵素ドレッシングを掛け仕上げている。 まさに人参が主役となった逸品といえよう。
総評
「これなら人参嫌いな子供でも、 喜んで食べる」 「酸味のバランスが絶妙」 「正月のお節料理によいヒントをもらった」 といった賛辞が寄せられていた。 質問の多くは人参酵素についてであったが、 その他には食材を 「おろす」 ことについてミキサーの長短所の様々な議論がなされた。