

中村 正明
和洋遊膳 「中村」
1963年、奈良県生まれ。20歳で『志摩観光ホテル』のメインダイニング『ラ・メール』に入る。総料理長・高橋忠之氏の下でフランス料理を修行後、スウェーデン日本大使館の公邸料理人になる。さらに『浪速割烹 㐂川』で腕を磨き、1995年に独立。店名の通り和洋の枠に捉われない料理が楽しめる。奈良の月ヶ瀬に菜園を持ち、野菜の栽培にも力を入れている。
いずれもが主役となる新しい大阪料理に挑む
大阪でもっともよく鱧が食べられてきたのは9月頃から。 しかし、大きく成長した秋鱧は骨も強いことから様々な食べ方が考えられてきた。 鱧のすすり鱠もそのひとつ。 叩いた鱧をこそげて出汁に擂り流す料理。 つまりは身肉もそうだが、 秋鱧を飲んで満喫しようという料理でもある。 今回の試作料理もまた、 そうした料理だといえよう。 鱧の骨から出汁をひき、焼いた舞茸と、 さらにはトマトと卵黄を合わせて吸地を作る趣向。ここで注目すべきは舞茸の活用法。舞茸が持つタンパク質分解酵素をあえて卵黄に加えることで熱を入れても卵黄が固まらなくしている。 これをミキサーにかけ濃厚な旨味を持つ吸地に。 いわば鱧出汁にトマトと卵黄の旨味を擂り流したとも云えよう。椀の具には、 鱧真薯を丸にとり自家製のモッツアレラチーズを射込み素揚げしている。 かつてなかった味が口中に広がる、 これはニュージャンルの大阪料理といえよう。
総評
「鱧に舞茸、 いずれもが主役といえそうな料理」 「料理では扱いにくい舞茸のタンパク質分解酵素を逆手にとって活かす技に驚いた」 など、様々な賛辞が多く寄せられていた。畑会長からは 「これは何と形容すべきか戸惑う、 新しい料理。 まさに和洋遊膳な逸品といえる」 とのコメントがなされた。
