足赤海老太白煮合せ

広里 貴子
(有)貴重 

辻調グループ校の日本料理技術講師を経て(有)貴重を設立。ごちそうプロデューサー®
として、料理講習会や企業様・地域の食にまつわる協力、またドラマ・映画等の料理指導、コーディネートも長年担当。
持続可能な食を目指して料理人からつむぐRelationFish株式会社の取締役兼務
大阪料理と長年向き合う中で郷土料理と地元の食材の大切さ常に念頭に置いて活動しております。大阪料理を充実したものにするには温故知新が大切。メンバーと共に研鑽させていただいております。

生食に近い味わいと食感の海老を煮もので楽しむ

大阪料理においては、 様々な海老が用いられるが、 料理屋好みとしてはシラサ (葦) 海老に足赤海老だろう。 伊勢海老など大きな海老なら具足煮や鬼殻焼きといった手法もあるが、 足赤海老や車海老といった海老は生食ならではの甘みや柔らかさを食客に供したいと考えるのが料理人だろう。 そこでこうした海老を可能な限り生食に近い火入れで加熱処理できれば、 さらに海老の可能性が広がるのではないかと試作されたのが、 今回の料理だろう。ここでは足赤海老を太白胡麻油で処理した後に真空にして50度で90分の加熱を行っている。 これに合わせて白煮の天王寺蕪と同茎葉のペースト、 さらには真昆布を醤油炊きしたものを煮合わせている。 生に近い味わいと食感を煮料理で楽しめる趣向。 温度帯や海老の仕上がりの色合いなどに工夫は必要なものの、大阪らしい発想には捨てがたい魅力があるのではなかろうか。

総評

「足赤海老らしさが、 よく出ていた」「生食に近いものを感じた」 などの評が多く聞かれた。 運営委員からは 「海老は個体差が激しいので、細かな温度帯についてはさらに今後に期待したい」 といった意見や 「海老は鮮やかな朱色が求められるので、 最初に霜振りを行って発色させておけばどうだろう」 とのアドバイスも寄せられていた。

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