辻 宏弥
法善寺 浅草
始末の精神で板持海老芋を使い尽くす
大きな板持海老芋は形を崩さず焚くのがベストだが、 どうしても煮崩れたり繊維質の多い部分を余らせてしまう。 ここでは、始末の精神で海老芋を使い尽くす料理が披露された。板持海老芋は大きいだけでなく柔らかいという特質があるので、 水から20分程度に戻す。 これを鰹出汁で焚く。 ここで処理しづらい部分を当たり鉢で潰し、 荒目の漉し器にかける。 これで葛豆腐を作るのである。濾した海老芋に、 焚いた出汁を捨てずに、 これに調味料を合わせて冷やし固めるのである。 固まった海老芋豆腐を切り出し溶き卵を付けて金鍔(きんつば)仕立てとしている。本来、金鍔の皮は餅米であったが、その後に小麦粉になり大衆化。 形も関西では刀の鍔のような円ではなく四角形へと変化。 ここでは卵地が海老芋にマッチ。 新しい令和の金鍔ともいえよう。
総評
「海老芋を使い尽くす」 というアイデアに多くの賛辞が寄せられた。 運営委員からは 「海老芋はその皮の部分に旨味がある。 先ずは蒸して皮をむいて焚くのがよかったのではないか」 とするアドバイスがあった。さらには 「剥いた皮も、 料理として使えるので是非チャレンジしてほしい」 との激励も聞かれた。