龍野乃刻の、その先。

城崎 栄一
旬屋 じょう崎  

福岡県出身。神戸、奈良で修業後平成7年4月に吹田駅近くにお店を開業。魚菜の会で大阪産の食材を知り地元の吹田くわいなど伝統野菜、淀川天然うなぎ、能勢牛などを積極的に取り入れ会席と一品料理の両方を供する。スチームコンベクションを駆使して食材の最適な温度帯を探り現代的な日本料理と昔ながらの古典的料理を追求している。

大阪的な始末の心で調味料を使い尽くす

龍野乃刻はヒガシマル醤油が醸す淡口の最上級プレミアム醤油である。その見事なまでの完成度は、料理人にさえ何も手を加えないことを選択させるほどである。その龍野乃刻ももちろん刻と共に色合いなどに変化が生じてくる。
こうした開栓した後の龍野乃刻の繊細な変化を、さらに次のステップへ引き揚げることができないか。つまりは龍野乃刻を使い尽くすにはどうすればよいかが、今回のテーマとなっている。
様々な手法が考えうるだろうが、ここでは米麹が使用されている。龍野乃刻150㎖に対して100gの米麹。これを手で混ぜ60度で6時間蒸す状態に。これを瓶に入れ、そこに160㎖の龍野乃刻を加え今度は常温で一週間程度発酵させた後に攪拌させる。このままでも淡泊な魚介に最適なソースとなるが、さらに米油等で乳化させることで味わいがさらによくなる。
また龍野乃刻はワインとの相性もよく、3割程度に煮詰めたワインに3/1程度の龍野乃刻そして少量の味醂とリンゴジャムを合わせ火を入れることで肉料理に最適なソースに生まれ変わる。

総評

「龍野乃刻の特長のひとつである、まろやかさを上手く活用させている」「瓶に少しだけ残った龍野乃刻を再利用する、よいヒントをもらった」とする多くの意見が寄せられていた。畑会長からは「龍野乃刻は、何もしないそのままで十分に美味い醤油だが、さらに料理人の感性や技をもってすれば、さらに素晴らしいものとなることがよく分かった」との評がなされていた。

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