冷製二種真薯の李茶ジュレ仕立て

上野 修
浪速割烹 㐂川  

大阪料理らしい割烹的な夏真薯の仕立て方

旬とは味わいの大きさもあるだろうが、獲れる量も多いという意もある。これを芋類と合わせ作る真薯は、いわば季節的な料理ともいえよう。それだけに真薯では真薯そのものよりも、その供し方に料理屋の技倆が求められるのではなかろうか。
今回の試作では、夏の魚介として帆立貝と跳荒海老が使用されている。いずれも各々の身肉を真薯にし、またその身を混ぜ込み、さらにはそれぞれから引いた出汁を使って蒸し煮としている。そこに昆布出汁と焙じ茶を混ぜ入れ、李(スモモ)の皮を加え調味したものをゼラチンで固め、ジュレ掛けとしている。
昆布出汁をベースにしながらも、そこに焙じ茶と旬の果実を加えるところに浪速割烹らしさが感じられる。夏だからこそ、手早く涼感を添えた割烹料理がより映えるのだといえよう。

総評

「多彩な味わいが合わさっているのだけでなく香りのよさも見事」」「ゼリーの透明感が素晴らしい」「中国料理においても桃とウーロン茶の取り合わせがあるので、それがうまく大阪料理として生かされている」などの評が寄せられていた。
畑会長からは「味変として付けられていた露生姜の効果にはなかなか見事なものがあるように感じた。ただ、添え盛りにされていた、塩茹でされた真菰や隠元などに、もうひと工夫あれば、という想いが残ったのも事実」といった感想も聞かれた。

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