干鱈と蕪ノ銀杏味噌仕立て

山本 英
はしま  

大阪ゆかりの食材を活かした名物料理へのヒント

御堂筋の銀杏並木は大阪を象徴する歴史的景観として大阪市指定文化財にもなっている。観光都市としての大阪を考えると今後は大阪ゆかりの食材のひとつとしての銀杏を大阪料理で頻繁に取り上げていく必要があるだろう。
さて今回の試作のテーマは、その銀杏を使っての自家製銀杏味噌。銀杏で味噌を自作するという発想が面白く、ここでは干鱈と合わせての餡仕立てとしている。
製法は常の味噌と同じで、大豆の代わりに銀杏を湯がいて潰し、これに米麹と塩を合わせている。ただ夏場仕込みの発酵でも4ヶ月以上を要するとのことを考えると、銀杏本来の味わいに馴れてくるまでには大豆よりも時間がかかるということなのだろう。それ故に、夏場に仕込んでおき冬季の使用に合わせるという狙いなのかもしれない。
干鱈そして蕪に白子と季節の食材を合わせ、これに銀杏味噌とさらに銀杏そのものを擂りつぶしたものを味醂等で加減し、これに一番出汁を加えとろみがつくまで煉り上げ銀杏味噌餡としている。常では主役になり難い銀杏だが、天王寺蕪など旬の大阪食材とも合わせ工夫することで思わぬ大阪名物料理が誕生する好例といえよう。

総評

「銀杏で味噌ができるのかと思ったが、この味噌は想像以上に美味い」「いろんな料理法に使えそうなので先ずは自作にチャレンジしたい」といった声が多く寄せられていた。
運営委員からは銀杏味噌への賛辞に加えて「夏場に仕込む、ということで新銀杏の使用はよく分かるが、せっかくなら成熟した銀杏でも是非やってみるべき」といったアドバイスに加えて「蕪は炊くのもいいが、ここでは焼き蕪の方がよかったように思う」とするコメントがなされていた。

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