オオズワイ蟹 擂り流し

板倉 誠司
旬菜 喜いち  

1972年、大阪府東大阪市生まれ。調理師専門学校卒業後、大阪府内や奈良の割烹、和食店で修行し、2008年に独立。地元に『旬菜喜いち』をオープン。毎日市場に出向き、納得のいく食材のみを仕入れ。素材本来の美味しさを引き立てる味付けにこだわっている。

湧い (大量発生し) た食材を大阪的料理で活かす

北海道でオオズワイ蟹が湧いて(大量発生して) いる。 食品流通の進んだ我が国では、 かなりの鮮度で中央市場などへ運び込まれる。 ただし、 オオズワイと呼ばれるほどに成熟した蟹ではなく、 未成熟な小ぶりなサイズが多く獲れている。それゆえに市場価格が低く、 また関西圏では食習慣も薄いことから市場でも持って行き場に苦慮しているのが実情だろう。 大阪でも長い歴史の中でこうした大量発生が多く見られた。 例えば古くは鰊やコノシロといったものがそうだろう。 こうした食材をいかに活かせるか、 そこが大阪料理の真骨頂でもある。 ここでは塩茹でしたものを身肉と味噌に分け昆布出汁と合わせ身肉を擂り流しとしている。 また味噌は同じく昆布出汁と合わせ吉野葛で蟹味噌豆腐に仕立てている。 初夏に相応しい冷製蟹擂り流し。 突き出しや箸休めには最適だろう。

総評

「蟹の擂り流しは、 初めて食べる食感」「初夏の冷製一品として面白い」などの評が多く聞かれた。 運営委員からは 「焼くという工程を加えればさらに蟹の旨さや香りも愉しめたのでは」 「口縁が開いた器で供せばさらに、 すすり鱠的な擂り流しを表現できたように思う」 といったアドバイスもなされていた。

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