大阪的な日本料理の在り方とは何か、大阪ならではの料理法とはどういったものか、こうしたことをテーマに、大阪の食材や調理法を互いに学び研鑽し合う日本料理の勉強会。
地域を代表する割烹店ならびに料亭などが毎月集まり、発表、試食などを通じて意見交換を行う会は全国で類の無いものといえます。
大阪料理とは
日本料理には宮廷料理や精進料理、茶懐石など様々な流れがあります。
その中で、大阪という地の利を活かし鮮度の良い海山里の食材を料理(割烹)するスタイルを築き上げたのが大阪であり、そこに育まれてきたのが大阪料理なのです。
日本料理でありながら、京料理や江戸前料理などの名が各地にあるにもかかわらず、大阪に大阪料理の名をあえて冠しなかったのは、まさにこうした理由に拠るものです。
では大阪料理は他とどう違うのか、それをまとめたのが【5つの調理心得】です。
一、食材第一義とす
食材の持ち味を第一義とするが、同時にそれを選ぶ眼力を養わねばならない。そして第一等でない素材でも、化学調味料は用いず、出汁の力、もしくは数種を合わせることによって互いの長所を取り入れ短所を補う「採長補短」を以って、最良の味を創ることが肝要である。
二、喰い味であること
「京の持ち味、浪速の喰い味」の格言どおり、大阪の味は素材がほんらいもっている特有の味を生かしながらも、更に奥行きのある深味を付けることにある。それは、あくまでも自然素材だからこそ、成せることである。
三、日本土産の食材を用いること
新鮮な魚介や野菜、山野草、海藻など、生産物の元はたとえ外国種であっても、日本の気候風土になじみ、日本の食材と言えるものを用いること。
四、出汁は昆布を主とすること
日本の昆布の評価は大阪が基準になっていたと言われ、最も早く料理に昆布を使った合わせ出汁を取り入れたとされる。持ち味を生かし、より深味を付けられるのは、昆布の味が最良であるからこそ。料理の主材料によって、昆布と鰹節、昆布と鯖節、昆布と煮干鰯などを使い分けること。
五、大阪人特有の始末と
大阪人持ち前の創意工夫によって、古くは東洋から、最近では西洋の食文化から、時の流れや嗜好を機敏に捉え、温故知新を踏まえ、巧みに取り入れ、それを日本料理に落とし込むこと。