黒グチ燻し梅酢庵仕立て

久保田 博
割烹 くぼた  

・大阪北新地 割烹味菜 
・オランダ ホテルオークラ
・大阪北新地 料亭
・東京 青山、広尾の日本料理店
・兵庫 西宮の日本料理店
・2010年に【割烹くぼた】開業

[使用食材]
・毎朝、大阪中央市場にて仕入れ
・熊本の父親が作った野菜
・自ら船釣りに行き仕入れと称しての釣った魚
・全国の漁港から直送

料理はコース料理のみで、味の濃淡、彩、食感を大事にし、美味しオモシロイ料理を目指し献立を立てています。

大阪湾の中深海層の魚を初夏の浪速料理に仕立てる

昭和の初期頃までは、 大阪では天麩羅といえば薩摩揚のことを意味していた。 そして、 そのすり身によく使われていたのがシログチなどの中深海魚。 こうした中深海層の魚が多く水揚げされるのが岬町より南部。今回の試作に使用されたクログチも久保田会員がそうした海域に自ら釣行したもの。 深海付近の魚は全般に水分を多く含むことから、 活け締めした後は、 塩をあて脱水シートであえて3日程度寝かせることで旨味を引き出している。 さらには、 薫りを付加させる目的で藁による燻製薫をまとわせることで、 料理屋の一品としての演出を施している。 料理の仕立ては特製タタキに。 これは皮と身の間のクログチならではの美味を強調させる狙いと、 初夏料理らしさへのこだわりが感じられる。 割烹のタタキに相応しい火加減に加えて、大阪産の河内晩柑の程よく酸味が効いた梅酢餡との味のバランス。 これらに加え、 自家製の干し筍や切り干し大根が醸し出す複雑な食感も大きな味のポイントとなっていると云えそうだ

総評

「「シログチは知っていたがクログチを料理として食するのは、 はじめての経験」 といったコメントが多く聞かれた。 藁による燻製薫への質問が相次いだが、その中には 「バーナーの香りのようなものが少し気になった」 とする評もあった。 これに対して運営委員からは 「工程として最初にバーナーで火入した後に、 藁で香りづけを行っているが、 これを皮目だけをバーナーにし、 後の火入れを藁で処理してはどうか」 とするアドバイスがなされていた。

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