競薫大阪千両茄子田楽

山﨑 浩史
旬菜「山﨑」   

大阪の調理師専門学校在学中、曽根崎にあるアルバイト先の「八幸」でお世話になった板前の先輩に感銘を受け、日本料理人の道を選択。卒業後、堂島にあった「紬」の川下板長に6年間師事し、更に、西天満の老舗料亭「芝苑」で4年間修業。そして28歳の時に、出身地・吹田市に自店(現「旬菜山﨑 佐井寺店」)を開業しました。長年地域の方に支えられ、応援頂き、平成21年「旬菜山﨑 竹谷店」を開店。郊外という地域柄、年配の方や親子三代でのご利用なども多く、ご要望に応えて、ゆったりと座って頂けるカウンターや椅子席の個室をご用意している。

 田楽に薫りを加味し冷製に仕立てる

江戸時代、 大阪の名物料理のひとつに「生國魂(いくたま)社の豆腐田楽」 があった。 これは豆腐百珍にも紹介されていて、 味噌ではなく葛餡仕立ての甘口であったようだ。いわゆる茶店料理であった串打ち田楽も、 いつしか料理屋料理となり、 様々な付け味噌が創作され三種の変わり味噌田楽として、 今も会席料理の一品として供されている。今回の試作料理もまたいわばそうした田楽の延長線上だが、 実に面白い現代風な試みがなされている。なごりを迎える大阪千両茄子を使った田楽三種。 いわゆるノーマルな茄子田楽に加えて、 もうひとつは白玉味噌に八方出汁の冷製ジュレ掛け。 そして3つ目は、 トマトの果肉と、 トマトから抽出したトマトウォーターを田楽味噌と合わせた 「トマト味噌」 仕立て。 さらに独特な薫りを加味すべく田楽には一休寺納豆を、千両茄子は藁焼きするといった趣向がなされている。惣菜的な料理の中に、 見えない季節の味わいを忍ばせる現代版大阪田楽料理といえそうだ。

総評

「夏らしい田楽料理、 この田楽味噌なら鰻料理にも合うのではないか」「トマト味噌だけでも面白いが、 それに加えられた一休寺納豆との相性の良さも申し分ない」 といった評が多く寄せられた。運営委員からは 「茄子田楽ということなので、 大阪では水茄子をはじめ様々な茄子が味わえるので、 茄子毎に楽しめる三種田楽などにも挑戦してみては」 とのアドバイスが聞かれた。

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