今月の献立 〈第35回〉 2013年 11月 |
第35回の大阪料理会。開会の冒頭に事務局から、会の相談役である上野修三氏が「現代の名工」を受賞された旨の報告があった。続いて畑会長から、「これを機に大阪料理会をさらに発展させ、今後も本会の中から名工が誕生することを期待する」とのコメントがなされた。さて、今回の前菜のテーマは、浪速の師走を感じさせる料理が並んだ。ひとつは雪見の頃、もうひとつは浪速の冬至。いずれも現代的な嗜好を取り入れた提案料理となった。またテーマ食材ではセミと呼ばれる海老芋や土入蟹など当会初お目見えとなる食材が披露された。 |
柚野 克幸さん 西心斎橋 ゆうの |
前田 武徳さん 菜ばな |
柚野 克幸さんの献立 | 前田 武徳さんの献立 | 撮影/藤澤 了 文/笹井良隆 |
【総評】 前菜料理の評としては、椿寿司の塩気が少し強い点、酢の味(濃淡)加減について様々な意見が出された。蓮根を使った洋風の松風は試みが面白いという意見がある一方、ベシャメルの牛乳臭が気になるという指摘もあった。また本前菜について上野相談役から、ひとつの前菜の中にサーモン、鯖が生魚として二種使われている点に対する指摘(注意)があった。さてテーマ食材だが、やはり海老芋のセミ(ひ孫)や土入蟹といった珍しい食材への質問が多く出た。特に海老芋を摺り流しとした発想に対しての賛辞が多く、是非一度やってみたいという声もあった。ただ柚子釜から少し苦みが出てしまったことが残念とする意見、反対にこうした苦みもまた味わいとしてはどうか、という主張もあり暫し論議となった。次の土入蟹では「味が濃いので驚いた」という声が多くあがった。料理としては、概ね良かったとしながらも、いろんな味が混ざりすぎている、もっとシンプルにという意見、さらにはせっかくの蟹味噌をもっと生かして欲しかったという意見もあった。 |