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大阪料理会とは 組織メンバー 今月の大阪料理 活動レポート
今月の献立 〈第40回〉
2014年 4月

第四十回目となる大阪料理会。今回担当いただいた3名は、藤井寺市、高槻市そして大阪市とそれぞれにエリアが異なることから、前菜やテーマ食材の選定に面白い地域色を見ることができた。中でも前菜においては、これまでにない大阪の歴史から発案されたものが提案されるなど話題を集めた。


菰田 昌寛さん 菰田 昌寛さん
料亭 梅廼家
お店HP
ぐるなび
島村 雅晴 島村 雅晴さん
雲鶴
お店HP
ぐるなび
荒木 宏之さん 荒木 宏之さん
araki8823
お店HP
ぐるなび
菰田 昌寛さんの前菜 島村 雅晴さんの献立 荒木 宏之さんの献立

◆4月のテーマ食材/魚介篇「桜鯛」

【料理名】
桜鯛共地焼筍朧和え

桜鯛のシーズンといえば、一昔前ならば「魚島」とも呼ばれていた。しかしこの魚島がすなわち鯛の旬とはいえない。大阪における鯛の旬は、秋〜冬、いわゆる寒鯛と呼ばれる頃がそうだ。春の桜鯛は、もっとも大量に獲れる時期ということで、この寒鯛と対比させられる形で命名されたものかもしれない。脂は寒時期ほどではないが、ほどよい脂加減もまた春らしい。さて、島村氏はこの桜鯛を三枚に卸し、アラは蒸した後に身をほぐし、出汁をとっている。このほぐし身を調味し汁気をとばし朧としている。切り身は出汁を掛けながら焼き、最後に朧をまぶし添えている。


◆4月のテーマ食材/蔬菜篇「大阪千両茄子」

【料理名】
翡翠茄子菖蒲見立

大阪の富田林で作られている、早出しの千両茄子。外気から遮断した温室で、有機栽培された千両茄子は、皮も身質も柔らかい大茄子のひとつ。この千両茄子を素揚げにし、すぐに皮をむき、少量の皮のみを出汁に浸けている。皮を剥いた茄子は冷ました浸け地へ。山芋を摺り下ろし、出汁でのばし塩水で味を整える。翡翠色に仕上がった部分へ、皮を浸けていた出汁を使って薄紫色に染め菖蒲見立てとしている。鮮やかな翡翠色と菖蒲の薄紫色のコントラストと、何とも柔らかな茄子の身肉。大阪千両茄子の魅力を堪能できる一品といえよう。




【総評】

桜鯛の料理については、「春の鯛の柔らかな味わいと、あっさりとした脂味がよく引き出されている」という声が多く寄せられた。また、出汁を掛けながら焼き上げられた、その焼き加減も絶妙という意見もあった。桜鯛の本来の持ち味を、寒鯛と対比させる形で表現しているといえよう。大阪千両茄子の料理では、翡翠色の色合い加減と、それに加えて紫色に変色させる出汁加減について質問が集中した。この紫色は15分程度で消えてしまうため、供する場合のタイミングのはかり方などにも心配りが求められる。割烹と料亭における茄子料理の在り方を考えさせられる料理でもあった。

  シーン1 シーン2


撮影/藤澤 了 文/笹井良隆