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大阪料理会とは 組織メンバー 今月の大阪料理 活動レポート
今月の献立 〈第45回〉
2014年 9月

9月の大阪料理会、前菜では深まりゆく秋を錦秋として表現した料理が披露された。そして同月には大阪の泉州各地区では「だんじり祭」が行われる。今回の大阪料理会では泉南で活躍する2名の会員がテーマを担当することとなり、食材には自ずと秋祭を感じさせるものが撰ばれた。中でも泉州ならではの「エソ」を使った伝統的な祭り料理などは会員の関心を惹いた。


山本 英さん 山本 英さん
片町「はしま」
お店HP
ぐるなび
佐野 亨一 佐野 亨一さん
泉南「菜の菜」
ぐるなび
松本 成寿さん 松本 成寿さん
ホテルグランヴィア大阪
お店HP
ぐるなび
山本 英さんの前菜 佐野 亨一さんの献立 松本 成寿さんの献立

◆9月のテーマ食材/魚介篇「エソ(狗母魚)」

【料理名】
・えそ紅白押寿司(泉南秋祭料理)
・エソ真丈の寄せスープ仕立て

エソという魚が市場に出回ることはほとんどない。その魚肉はほとんどが蒲鉾などの原材料として使われているからだ。泉州でも水揚げされるが、食されるのは秋祭りの時期に限られるようである。
今回はそのエソを使った泉南秋祭料理としても今も食されている紅白押寿司。上身にしたエソを白焼きにして骨をとり、身はばらして庖丁で叩き、中骨は出汁としている。身は半分に分け、ひとつは酒・醤油・味醂などで調味し甘辛く炊きあげ、有馬山椒を入れ紅色に仕上げる。残り半身はスープ、酒、砂糖、味醂でこれも甘辛く炊きあげ途中で生姜を加え白色に仕上げる。これらを間に海苔を挟み押し型で寿司としている。
エソ真丈は、あたり鉢であたって2割量の鱧擂り身を加える。スープに浮き粉を溶いて擂り身を柔らかくのばし、玉子の素、玉葱微塵切りを入れて調味し流し函へ。スープはエソの焼いた中骨に、馬鈴薯、玉葱、人参などでとり一番出汁と合わせている。


◆9月のテーマ食材/蔬菜篇「大阪菊菜」

【料理名】
酒肴風 菊菜酒盗衣和え
菊菜豆腐麹漬 しめじ麹漬

秋から出荷が始まる大阪菊菜。今回は西野農園の菊菜が使われた。菊菜は出始めなので、あまり火を入れないでほしいと農家から注意があったとの報告がなされた。そうしたことから佐野氏がこの料理を思いついたのかも知れない。
さて、水切りした木綿豆腐に、煉り粕と塩麹を混ぜる。豆腐はさらしに巻いて真空パックへ。麹粕を塗って一週間置く。酒盗衣は、酒盗を5分程度、水に晒して塩抜きした後に卵を入れて湯煎。菊菜は湯がいた後に吸地の八方に浸けている。この菊菜をさきほどの酒盗衣で和えている。ちなみに、しめじは洗った後、真空パックに入れ塩麹を塗って二日間置いたものだ。




【総評】

今回の秋祭料理について上野相談役は、「最近では高価で名の通った食材を使うことが当たり前のようになっている。しかしこれからは名もないような安い食材を、上手に使っていくことにも思いを馳せてほしい。そもそも祭り料理とは、旨くて安くて誰もが食べられる食材であったから祭りの食材に使われた。菱蟹も鱧もそういった食材だったはず」との話に参加した会員は聞き入った。また、エソを使った料理に対して会員からは、「いろんな食材から出汁(スープ)をとる。よい勉強になった」との声もあった。菊菜を使った料理では、その狙いが酒肴にあることから会員の中からは、「酸味が強い味わいだが、この味を酒で洗うことで旨味が増す」「もう少し酒を飲みたいと思わせる料理」との賛辞が多く寄せられた。

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撮影/藤澤 了 文/笹井良隆