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大阪料理会とは 組織メンバー 今月の大阪料理 活動レポート
今月の献立 〈第46回〉
2014年 10月

10月の大阪料理会では、畑会長から開催に先立ち「大阪的な料理とは何か」に対する投げかけが行われた。大阪らしさを競う料理コンテストにおいて、いまだに「たこ焼き」「お好み焼き」といったところからしか料理が思いつかない作品が多すぎる。日本料理の中にあって大阪における日本料理とは何なのか。それを今一度考える上においても大阪料理会に集う意義は大きい、との話に全員が聞き入った。


小川 健さん 小川 健さん
大阪あべの辻調理師専門学校
お店HP
前田 武徳 前田 武徳さん
東大阪「菜ばな」
お店HP
ぐるなび
久保田 博さん 久保田 博さん
西天満「割烹 くぼた」
お店HP
ぐるなび
小川 健さんの前菜 前田 武徳さんの献立 久保田 博さんの献立

◆10月のテーマ食材/魚介篇「蠣(かき)」

【料理名】
蠣の白味噌和え(大阪土手鍋風)

大阪の冬の風物詩といえば、何と言っても水の都・大阪の川堀に浮かび並んだ「蠣舟(かきぶね)」だろう。蠣を白味噌仕立ての土手鍋とする食し方は、大阪で生まれた大阪好みの味わいのひとつといえよう。今回は、そんな大阪人が愛した蠣を昔ながらの土手鍋にヒントを得て作られたもの。
蠣は赤出汁にてこれを焚いておく。水切りした豆腐は、いったん出汁・濃口・味醂で炊きあげて陸上げし、これをさらに白荒味噌に5日程度漬け込んだもので、和え衣を作っている。蠣と白味噌との相性の良さを、さらに料理屋の一品とした昇華させた料理だといえよう。


◆10月のテーマ食材/蔬菜篇「能勢銀寄栗」

【料理名】焼栗豆腐

生栗の旬は長くはない。どの状態の栗をどのように料理するか。料理人の腕が問われる難しい食材のひとつともいえよう。
今回の能勢栗はあえて採りたてのものを冷蔵庫で密封保存し熟成をかけている。これら栗を3つにわけ、ひとつはペースト、ひとつは八方煮、そしてもうひとつは仕上げ用としている。栗ペーストを作り、これに昆布出汁、吉野葛を入れ栗豆腐に。別に取り置いた栗で渋皮煮を焚いて、裏漉し玉味噌と練り合わせている。栗豆腐を切り分け、これを栗油で揚げ、栗味噌を掛け、仕上げ用の栗が天盛りされている。




【総評】

蠣を使った料理では、運営委員からは「大阪的なアプローチが面白い、これこそ参考にすべきもの」との賛辞が送られた。本料理で最も多くあった声が、貝毒の問題。特に昨今様々な中毒事件で騒がれているノロウィルス問題が気になって、なかなか蠣を使うことができないという声も少なくなかった。蠣にどれだけ熱を加えればいいのか、また今回のように生蠣ではない、加熱した蠣料理の在り方、美味しさの引き出し方ということも考えていく必要があるだろうとの意見が出された。
次に能勢の銀寄栗料理では、デザートとしても使えそうだとの声や、自家製栗油に対する意見や質問が多くあった。料理としては、中に入っていた八方煮の小角の栗が、もっと大きかった方が良かったのではという指摘があった。

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撮影/藤澤 了 文/笹井良隆