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大阪料理会とは 組織メンバー 今月の大阪料理 活動レポート
今月の献立 〈第52回〉
2015年 4月

春から初夏へ。木々の色合いだけでなく、食材にも濃い緑が多くみられるようになった今回。前菜はこれまでとは少し趣向を変えて皐月の野菜尽くしが披露された。またテーマ食材では、和製のチョウザメにキャビアといった高級食材が、和のテイストからどのように料理すべきかなどが会員に投げかけられた。常にも増して内容の濃い大阪料理会となった。


久保田 博さん 久保田 博さん
天満「割烹くぼた」
お店HP
ぐるなび
坂本 晋 坂本 晋さん
北新地「味菜」
お店HP
ぐるなび
前田 武徳さん 前田 武徳さん
味菜旬香「菜ばな」
ぐるなび
久保田 博さんの前菜 坂本 晋さんの献立 前田 武徳さんの献立

◆4月のテーマ食材/魚介篇「和製キャビア」

【料理名】蝶鮫造り二種盛り

和製キャビアへの取り組みは我が国ではおそらく昭和の後半から始まっている。今回使われた蝶鮫&キャビアは飛騨高山産である。蝶鮫は上身に薄塩して30分程度おいている。これを糠床に醤油粕を混ぜたものに漬けこみ、ほぼ一週間程度寝かせている。燻りがっこはみじん切りにしスモーク、これをオリーブオイルで合わせソースとしている。冷蔵庫で寝かせていた上身をそぎ切りとし大葉と共に巻き、さきほどの燻りがっこのソースを添えている。
もう一種はキャビアを使った逸品。蝶鮫の上身を昆布〆とし、これをそぎ切りにし山葵葉で包み、真空器にかけて一週間程度寝かせている。吸い地に裏ごしした梅干しを入れ葛でとろみをつけ、さらにおろし山葵を加える。上身を巻いた中にキャビアをのせタレが添えられている。


◆4月のテーマ食材/蔬菜篇「筍」

【料理名】筍寿司

筍のすべてを使い尽くした筍料理。ありそうでなかったこの発想に「筍寿司」という形で挑んだ力作。ゆがいた筍を桂に剥き、姫皮と共に八方地で炊いている。桂剥きして残った芯の部分は千切とし濃い目の吸い地で炊いている。アサリの剥き身を、甘目の味で炊き上げ、冷めてから身を軽く叩いている。サラダほうれん草を色出しし八方出汁に漬けこむ。最初の桂に剥いた筍を巻き簾に敷き、すし飯をのせ、芯部分の筍とアサリを具にして巻いている。




【総評】

ベルーガなど塩味の強い大粒のキャビアといえばワインやシャンパンにマッチした洋のイメージ。しかし塩分が少な目の和製キャビアは、和の料理にもマッチした食材ではないか、との声が寄せられた。ただし、和製といえども高級食材であることには違いはなく、その食材そのものを価値に見合った形でどう生かしていくべきか。これを今後、和の料理人が皆で考えていく必要があると思われる。しかも始末を真情とする大阪料理ということで、キャビアだけでなく蝶鮫そのものも料理の中にいかに取り込み生かしていけるかが今後の課題となりそうだ。
筍料理については様々な賛辞があったが、中でも寿司飯の美味さの秘密を知りたいという声が多くあった。これに対して坂本氏は「通常の寿司酢を合わせるだけでなく、これに大村屋製の真空包装された胡麻を入れさらに一か月漬け込んだ合わせ酢を使用しました」と、そのプロセスをわかりやすく説明。参加会員は全員熱心に聞き入った。

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撮影/藤澤 了 文/笹井良隆