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大阪料理会とは 組織メンバー 今月の大阪料理 活動レポート
今月の献立 〈第53回〉
2015年 5月

5月にも拘わらず真夏日が続く。定例会開催日も早朝から夏の日射しとなった。53回の定例会では畑会長が所用にてご欠席。上野相談役が会長代理に。前菜では、強き日射しが疎まれる梅雨晴れがテーマとなった。5月の食材では「鱸」に「大阪しろ菜」「貝塚早生玉葱」といった大阪の夏食材が並んだ。


西野 保孝さん 西野 保孝さん
「山海料理 仁志乃」
お店HP
坂島村 雅晴 島村 雅晴さん
「雲鶴」
お店HP
ぐるなび
松尾 慎太郎さん 松尾 慎太郎さん
北新地「弧柳」
お店HP
西野 保孝さんの前菜 島村 雅晴さんの献立 松尾 慎太郎さんの献立

◆5月のテーマ食材/魚介篇「赤舌鰈」

【料理名】泉州赤舌の風干し
潮出汁ジュレ掛け

赤舌鰈の旬は一般的には秋〜冬。しかしいわゆる産卵期は夏とされている。産卵前の赤舌にはどこかに違った旨味を見いだせるのではないか。そうした着想から考案された料理だといえよう。五枚に卸した赤舌に強塩。上身は大根のおろし汁に淡口を加えた地に一晩漬けている。塩した頭や骨は大根の皮と共に潮煮にしてからゼラチンで固めジュレに。漬けていた上身は半日風干し、天火で焼く。これを漬け地した「うるい」と共に盛りつけ潮出汁ジュレを掛けている。


◆5月のテーマ食材/蔬菜篇「貝塚極早生玉葱」

【料理名】
貝塚早生の卯の花浸し

泉州黄玉葱から生まれた貝塚早生玉葱。早生だけに水分が多く甘さも強い。この玉葱の芯の部分をスライスして炒めてペースト状に。木綿豆腐は水切りしてから淡口に浸し2時間置く。この豆腐を桜チップでスモークにしてから荒濾しに。おからを炒めて甘酢を加え炊いておく。これに燻製豆腐と玉葱ペーストを混ぜ合わせた後に、色紙切りした貝塚早生玉葱を3日漬け込んでいる。貝塚早生をまるごと使った卯の花浸しとなっている。




【総評】

赤舌鰈には独特な香りがあるなど食材としては難しく、また頭や骨からもあまり出汁がとれるような魚ではない。評としてはジュレ掛けの面白さへの声がある一方で、牛乳を使うなど臭みを抑える工夫も必要だったのでは、という声もあった。全体的には、干しすぎによる身の固さや、味の濃さへのコメントが多くあった。また、潮ということで大根を合わせた点について、上野相談役からは「潮に大根では船場煮になってしまう。本来の大根の意味は塩鯖の辛さを大根の甘味で補うところにある。潮の意味をしっかりと押さえておかなくては」の意見が出されていた。
貝塚早生の卯の花浸し、では玉葱の食感が非常に良かったという意見の他、淡口燻製豆腐への賛辞が多くあった。ただ、あまりに料理全体が酸味に支配されすぎている点が惜しいという指摘もあった。運営委員の中からは「すべて酸で合わせるのではなく、他のものは重ね盛りにするなど、味の濃淡に配慮すればさらに完成度が上がったのではないか」といったコメントが寄せられていた。

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撮影/藤澤 了 文/笹井良隆