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大阪料理会とは 組織メンバー 今月の大阪料理 活動レポート
今月の献立 〈第62回〉
2016年 2月

定例会の開催に先立って会長からの挨拶。その中で、最近では日本料理への関心が高まっているようで各地の日本料理人や企業からいろんな相談事がある。しかし、その多くはその場の仕事をこなすだけのノウハウを知りたい、というものがほとんど。地域の日本料理にどう向き合っていくのかを皆で真剣に取り組む。大阪料理会の姿勢こそ全国に発信すべきものだと思うとのコメントがなされた。


岡本 正樹さん 岡本 正樹さん
天の川 なかなか
お店HP
早川 友博さん 早川 友博さん
小嘉津
ぐるなび
柚野 克幸さん 柚野 克幸さん
西心斎橋 ゆうの
ぐるなび
岡本 正樹さんの前菜 早川 友博さんの献立 柚野 克幸さんの献立

◆2月のテーマ食材「豆」


手亡豆摺り流し 牡蠣饅頭

今回取り上げられたのが「豆」。豆には様々な種類があるが、昔のようにこれを家庭で楽しむことができているかといえばそうではない。いろんな豆の美味しさを発信していくことは料理屋の使命ではないか、との考えから今回は「手亡豆」が先ず取り上げられた。一晩浸けた手亡豆を弱火で柔らかくなるまで炊き、摺り流しとしている。牡蠣は酒煎りした後、ヒダと肝とに分け、肝は当たり鉢であたり、ヒダの部分は水煮にした大豆を和えて白玉粉の生地で包んで蒸している。最後に手亡豆の摺り流しに牡蠣の出汁を加えとろみを加え饅頭に掛けている。

◆2月のテーマ食材「鱒」

鱒の若牛蒡包み 酒粕餡

三枚に卸した鱒に塩をし、アラにも塩をして、その後に霜振り。若牛蒡は葉・軸・根に分け、葉はさっと湯がき、軸は金平に、根は二番出汁で炊いている。根の部分は水煮の大豆と共にミキサーに。鱒のアラを酒と一緒に焚いて出汁をとり、その出汁で酒粕をのばし調味して、これを餡としている。若牛蒡の葉を広げ、軸を束にし、その上にピューレにした根の部分をのばし葉で包んでいる。これを芯にして切り出した鱒で巻き酒粕餡を掛けている。




【総評】

豆と牡蠣を使った料理では、多くのヒントが詰まった料理だという声と共に、さらに完成度をアップさせたくなる料理である、といった評が聞かれた。ただ、せっかく豆をテーマにしているので、もっと手亡豆としてのアクセントがあってもよかったのではないか、という意見や、牡蠣が少しパサついたように感じるので白味噌を隠し味としたらどうだろうか、といった意見も寄せられていた。
鱒をテーマにした料理では、鱒の火の通し加減が絶妙、若牛蒡の根のピューレそして酒粕餡など面白くそしてどれも旨いといった声が多くあった。意見としては鱒の味が少し薄く感じられた点や、酒粕餡では煎り大豆の出汁を使ってみてもよかったのではないか、といった声などもあった。現代では、豆を家で煮るといったこともしなくなっている。もっと豆という食材を身近なものとするためにも、この「豆シリーズ」は是非とも続けていただきたいものである。

  大阪料理会 大阪料理会


撮影/藤澤 了 文/笹井良隆