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大阪料理会とは 組織メンバー 今月の大阪料理 活動レポート
今月の献立 〈第65回〉
2016年 5月

前月で抽選によって定めた第五期の試作発表サイクルが終わり、今回からは新たに第六期の定例発表会となった。期を新たにするにあたり、今回より会長ならびに運営委員から出されたテーマを6回に渡り、担当会員等が考え、発表するコーナーがスタート。第1回のテーマとして出されたのが「ワインに合う日本料理を考える」。また本定例会では大阪ワイナリー協会の煦芍長をゲストにお迎えし、国産ならびに大阪ワインの現状などを語っていただいた。


北野 博一さん 北野 博一さん
河内長野市「日本料理 喜一」
お店HP
ぐるなび
吉良 健太郎 吉良 健太郎さん
貝塚市「料亭 深川」
ぐるなび
柚野 克幸さん 柚野 克幸さん
西心斎橋「ゆうの」
ぐるなび
北野 博一さんの前菜 吉良 健太郎さんの献立 柚野 克幸さんの献立

◆5月のテーマ「若鮎」

若鮎と焼御結び 共骨出汁茶漬け

初夏の味わい。若鮎と新茶、それぞれの味と香りを愉しむ逸品。若鮎はひとまず三枚に卸し風干しする。三枚におろした際の鮎の頭そして内臓等に塩をして一晩寝かせる。鮎の上身にはウルカそして黒ニンニクのピューレを塗って焼いている。一晩おいた鮎のアラは、骨に水・酒・白葱・干し椎茸の軸・生姜を炊いて出汁をとって、鰹の一番出汁で割って吸い出汁としている。焼きお結びは、玉蜀黍(とうもろこし)、焼き鮎のほぐし身、鮎骨出汁を入れて炊いたもので、焼きお結びとしている。できた焼きお結びを椀に入れ、仕上げに出汁を張り新茶パウダーをふりかけ、茶漬けとして供された。若鮎をいわゆる焼き物としてではなく、さらりと召し上がっていただく趣向となっているようだ。



【総評】

鮎の内臓が持つ独特な苦味と玉蜀黍の甘味が意外に合う、という声が聞かれた。ウルカと合わせて黒ニンニクが使われているのが面白いという声がある一方で、出汁を楽しむものとしてはクセがありすぎるのではないか、という指摘もあった。それと鮎のほぐし身は、風干ししたことで鮎の一夜干しとして旨さはあったものの、もっと香ばしく焼けば良かったのでは、とのコメントもあった。鮎料理として面白い試作だが、味わいとして濃すぎるものとなったしまったのが残念、というのが全体的な意見であった。

  大阪料理会



特別テーマ 〜ワインに合う日本料理を考える〜

◆第1回に提案されたテーマと趣旨 「掛け垂(だ)れ」と「添え垂(だ)れ」

魚介にしても野菜にしても生食に近い状態のものを供することが多い日本料理では、掛けダレや添えダレに工夫が求められる。
ここではワインに合わせやすく汎用性の高い「垂れ」の在り方を考えてみました。

「掛けダレ」の試作料理
パッションフルーツの白酢掛け

パッションフルーツの果汁を用いた白酢の和え衣です。ここでは野菜として紅ずいき・胡瓜・クラゲ・ミニトマトを和えています。従来の日本料理で使われる米酢等だけでは白酢にした場合、ワインが持つ酸との相性がいまひとつ良くないですが、パッションフルーツを使うことでぐっと相性が良くなるのではないでしょうか。



「添えダレ」の試作料理
トマト水のポン酢

ここでの掛けダレは、鰹のタタキに合わせる添えダレとして考案してみました。鰹はニンニク油でたたきとしています。添えダレは、トマト水に味醂・酢橘酢少々で塩梅しています。鰹のタタキ料理も醤油ベースのポン酢ではワインに合わせ難いですが、トマトの酸味と、グルタミン酸の力を借りることで、鰹のような赤身魚もワインに合う素材に変身させることができるのではないかと考えます。



撮影/藤澤 了 文/笹井良隆