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大阪料理会とは 組織メンバー 今月の大阪料理 活動レポート
今月の献立 〈第67回〉
2016年 7月

ワインに合う日本料理、また日本料理とワインのこれからを考える特別テーマも今回で3回目。様々なアプローチがその都度に行われ、上野相談役からも「想像以上に面白くなってきた」というコメントも聞かれた。今回の特別テーマでは、各々が選んだテーマ食材を、和・洋の料理法に分け、洋ではワインに合わせるとすればどのようなところがポイントとなるのかといった発表形式がとられた。


早川 友博さん 早川 友博さん
北新地「小嘉津」
ぐるなび
石橋 慶喜 石橋 慶喜さん
北新地「日本料理 慶喜」
お店HP
ぐるなび
上野 修さん 上野 修さん
法善寺横丁「浪速割烹 㐂川」
ぐるなび
早川 友博さんの前菜 石橋 慶喜さんの献立 上野 修さんの献立


◆7月のテーマ食材「鮑」

千枚鮑の共肝寄せ 共地吸卵仕立

鮑(アワビ)は国産以外にも韓国産など様々なものが流通している。今回は店ではあまり使用しないという比較的安価な韓国産鮑を使って、その可能性を含めての試作となった。鮑は肝を蒸し裏濾す。これに山芋を合わせ最後にメレンゲが加えられている。次に、真昆布の出汁で玉子豆腐を作り、これを裏濾している。鮑は薄く切り出し、その際に貝から出るエキス分は残している。切り出した鮑に吉野葛を塗し、これを先ほどの肝メレンゲでつないで蒸し上げている。真昆布の出汁に玉子豆腐と取り置いたエキス分を加え薄葛汁にし、椀に入れた千枚鮑に注ぎ入れている。



【総評】

鮑といえば昆布というほどに、相性の素晴らしさを改めて実感させられた料理だった、との賛辞が次々と寄せられた。鮑には昆布や海草系のものとの取り合わせがなされるが、今回は特に真昆布を使ったことが大きなポイントになっているのではという意見と合わせて、運営委員からは「真昆布だからこそ鮑の味がここまで生きてきたのではないか」とするコメントも聞かれた。また、鮑肝の使い方の面白さや、吸卵仕立てという最近ではあまり行われなくなった料理法に対しての質問も多くあった。

  大阪料理会



特別テーマ 〜ワインに合う日本料理を考える〜

◆第三回に提案されたテーマと趣旨:「同一食材を和・洋で使い分ける」

和食ではよく使われ、また今回自身がテーマとして選択した食材を、ワインに合うアレンジ法で仕上げることで、ワインに合う日本料理とするためのポイントがどこにあるのか、どこを変えることでワインに合う一品となりうるのかを考えてみた。


<評>
蒸し鮑に昆布出汁という日本料理の基本を踏まえながらも、バナナを甘味料として使用しているところが興味深い。しかも果実を調味料に使っているところがワインに合わせる大きなポイントになっている、との評が多くあった。運営委員からは、さらに和風的手法とするなら、昔行われていたような柿を摺りおろして甘味料として使うというやり方も面白いのではないかとの意見もあった。

冷菜・蒸し鮑の葡萄肝醤油

<担当会員:上野 修氏>

鮑を昆布出汁に漬け蒸し、肝は裏濾し、赤ワインで伸ばし火にかけ、濃口醤油・デラウエアの蜜煮・バナナで調味した後、さらに昆布出汁で調味している。煮汁にゼラチンを加えコンソメジュレにし、切り出した鮑に掛けられている。


大阪料理会


撮影/藤澤 了 文/笹井良隆