今月の献立 〈第38回〉 2014年 2月 |
大阪料理会は、概ね割烹店と料亭によって構成されている。では、その料理上の違いとはどこにあるのか。今回の大阪料理会では前菜料理を、料亭界の雄として知られる高麗橋吉兆が担当。湯木副会長自らが前菜料理を以て、料亭料理の在り方を示した。またテーマ食材では、これまで料理人に敬遠されぎみであった「黒鯛(チヌ)」が取り上げられ、黒鯛料理のこれからに一石を投じる提案などがなされた。 |
湯木 潤治さん 高麗橋 吉兆 |
中村 正明さん 和洋遊膳『中村』 |
畑島 亮さん キュイジーヌ・大阪・リョウ |
湯木 潤治さんの前菜 | 中村 正明さんの献立 | 畑島 亮さんの献立 |
【総評】 料理の解説にあたり湯木副会長は、「その場の客のオーダーに応えて料理を供する割烹と違い、料亭は事前にその席に合った季節そして節(せち)の料理を用意することができる」と説明。こうした割烹と料亭との違いについての話の後に質疑応答に入った。まず蛤沢煮については、散酢のあたりが素晴らしいという声が多くあった。また蛤の処理方法について、最初に蛤の上身を半分にへいでおくのは何故かとの問いに対して、客層に年配者が多いため少しでも食べやすくするためとの説明がなされた。次に鴨ローストが非常に柔らかく食べやすかったとの意見に対して、65℃を中とした湯煎の温度加減ではないかとの説明が吉兆側からなされた。前菜全体としての完成度の高さ、さらには前菜五種の彩りの美しさへの賞賛の声が相次いだ。運営委員の中からは、かつて湯木貞一氏が日本料理を牽引されたように、これからは高麗橋吉兆が大阪料理会の若手料理人に目指すべき道を示して欲しいという願いが付け加えられた。 |
撮影/藤澤 了 文/笹井良隆