醤油の原料である大豆ならびに脱脂加工大豆にはどのような違いがあるのか。
今回は、これを実際に試飲することで学んだ。
当日は大阪料理会に参加した、ヒガシマル醤油研究所の武内研究員から以下の説明が行われた。
「脱脂加工大豆」とは、大豆からあらかじめ油を取り除いたもの。一方、そのままのものを「丸大豆」と呼んでいます。昔は醤油の主原料となる大豆は丸大豆が使用されましたが、多量の油脂が含まれており、これが醤油のもろみをしぼった生揚醤油の上に浮かんでくるため、取り除く作業が必要でした。そこで丸大豆の油をあらかじめ取り除いた、醤油の原料用として加工された脱脂加工大豆が使われるようになってきました。ちなみに脱脂加工大豆を加工する際に取り出した大豆油は、食用油として有効活用されています。
一般的には脱脂加工大豆で作られた醤油は“香りの立つキレのある風味”“強い旨み”を特徴としており、丸大豆で作られた醤油は大豆の油脂成分が醸造中にグリセリンなどに分解されることで“まろやかさ”“深いうま味”が特徴となっています。
(2020年10月)
龍野とは、江戸時代初期に初めて淡口醤油の醸造法が考案された場所。 醸造に最適な気候に加え揖保川の軟水、三日月の大豆、播州の小麦、赤穂の塩といったこれ以上望めない環境と原料に恵まれながら、淡口醤油はつくり続けられてきた。今も受け継がれる当時の精神に、現代の技術を生かし、これまでにない淡口醤油をつくりたい。 そんな熱い思いを結集し、ヒガシマル醤油が研究開発に5年をかけて2002年に誕生させたのがこの究極の醤油。
本年の「龍野乃刻」もまた、素晴らしい出来映えで、深い味わいと甘味、上品な芳香を持っている。関西の料理人だけでなく日本料理には必須の淡口醤油である。
(2018年12月)
明治期〜戦後までの大阪料理50選に加え、大阪料理会の活動をまとめた平成の大阪料理50選
大阪を発祥とする料亭そして割烹の貴重な歴史資料も併載。「大阪料理とは何か」に答える決定版!!
著者:大阪料理会 監修
“食いだおれ”として知られる食都・大阪。実は全国のグルメを凌駕した関西割烹のルーツは大阪にあるといえる。その大阪料理の歴史から今に発展していった料理を掲載。単なるレシピだけでなく文化、その精神性まで探る初の大阪料理の決定版!
判型:B5判
ページ数:212ページ
発行日:2017/09/22
ISBN-13:9784751113011
定価:本体 3500円+税
日本の文化の向上及び発展に寄与するため、地域文化の振興に資する芸術活動や文化芸能等に対して顕彰及び助成を行っている全国税理士公益会文化財団より、大阪料理会等の活動が認められ、同文化財団の顕彰対象部門より「食文化事業」として表彰を受けました。
(2016年1月27日)
第五十回目を記念した宴が、定例会の第二部として『料亭・天王殿』で催された。招待客などを含め約80名が参加。あまから手帖の中本編集長の司会進行。事務局からの挨拶に続いて、来賓からの祝辞そして上野相談役の乾杯発声で華やかな宴の幕が切られた。
先ずは毎月定例会で恒例ともなっている前菜料理がサプライズ料理として披露された。この日の前菜料理は、辻調理師専門学校の3主任教授らが、畑会長へのそれぞれの想い出を料理に代えて小箱に盛り込んだもの。
次に、事務局から五十回定例会に至るまでの会の軌跡をスライドで振り返りながら紹介。歓談の後にも祝辞が続き、「おしゃべりクッキング」のパートナーであった上沼恵美子様からのビデオ祝辞なども紹介された。
畑会長のご友人によるライブ演奏で宴もたけなわを迎え、大阪料理会を代表して運営委員5名からの記念品贈呈。さらには畑会長の愛弟子のおひとり、辻調理師専門学校の松島 愛様からの花束贈呈。閉会にあたって、畑会長から今後の抱負が述べられると参列者全員が聞き入った。
(2015年2月22日)
7月の大阪料理会において、極めて珍しい試食が行われた。それが『淡口醤油諸味(もろみ)』の試食。調味された濃口の醤油諸味は稀に見かけるが、ほとんど手を加えていない淡口醤油諸味を試食するのは初めての経験だろう。ヒガシマル醤油(株)の真岸研究員からは次のような解説が行われた。
「醤油作りには昔から、『一麹(こうじ)、二櫂(かい)、三火入れ』という言葉があります。諸味は醤油の品質を左右する非常に重要な工程とされます。諸味では、大豆や小麦といった原料が旨味成分(アミノ酸等)や甘味成分(ぶどう糖等)に分解されるほか、酵母や乳酸菌の発酵により薫りや風味といったものも醸し出されるのです」。
「淡口醤油では、仕込時の麹に対する食塩水量を濃口に比べ多く使用します。これにより酵母の発酵が旺盛となり薫りが華やかで軽快なものになるのです。『素材を活かす淡口醤油』ではこの華やかな薫りが大切にされてきたのです。また発酵が旺盛になる分、大豆等の糖分消費が多くなりますが、ここで諸味を搾る際に『甘酒』を加えることで、複雑味のあるコクとまろやかな風味が生まれてくるのです」。
まさに食べる淡口醤油ともいえる、淡口醤油諸味。参加会員全員がその旨みの強い淡口諸味に驚かされた。
(2014年7月)
6月の大阪料理会において(株)大村屋から日本料理にあるべき胡麻油についての提案がなされた。これをもとに胡麻油について考えてみた。
「胡麻油」は日本料理に欠かすことができない食用油。その香りと味わいそして栄養価などから、ひとつの食材と云っても過言ではないだろう。しかしながら、現在流通している胡麻油のほとんどが、脱臭や脱色、また脱ロウといった精製がなされている。これはかつての胡麻油が持っていた料理における重要な位置づけから、次第に単なる油のひとつといった位置づけへと意識が変わっていったことによるものと思われる。大量に安価に製造するために本来のあるべき姿をなくしつつある胡麻油。
この日本料理に欠かすことができない胡麻油を今一度、料理人に届けたいとの想いで(株)大村屋から提案されたのが『石うすしぼり ごま油』。白胡麻を薪で焚いて釜で焙煎した後、石臼でしぼり和紙で濾過しただけの本物の胡麻油。大阪料理会においても今後、この胡麻油を使った大阪料理の試作が待たれるところだ。(2014年6月)
大阪料理会相談役の上野修三氏が現代の名工に選ばれました。 |
食い倒れの街で、日本料理人が大阪料理を切磋琢磨読売新聞 2013年 6月20日 朝刊 「市内版」 |
2013年5月の特別講演講師:桐原清武部長(大阪あべの辻調理師専門学校 キャリア教育推進部)日本料理を志向する若者は決して少なくはない。むしろ増えているほどの人気ジャンルである。中でも女子学生からの人気は高く年々その数は増加している。そうした事実があるにもかかわらず、一方ではせっかく就職したお店を突然に辞めてしまう、いわゆる「飛ぶ」という現象が後を絶たない。その理由はどこにあるのか、これを若者の意識側、そして受け入れ側であるお店側から問題点を指摘。 |