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大阪料理会とは 組織メンバー 今月の大阪料理 活動レポート
今月の献立 〈第43回〉
2014年 7月

7月の定例会では、鮎や鰻など夏らしい食材がテーマに取り上げられた。開催曜日としては久々の土曜開催となり、欠席する店も多くあったが、それでも参加会員はおよそ40名となった。熱心な会員からは「店の都合で欠席を考えたが、淀川の鰻や、毛馬胡瓜がテーマなだけに見逃せないと思った」という声も聞かれた。夏の大阪らしい食材をいかに料理するかに注目が集まった。


広里 貴子さん 広里 貴子さん
貴重
お店HP
東迎 高清さん 東迎 高清さん
浅井東迎
お店HP
ぐるなび
石橋 慶喜さん 石橋 慶喜さん
日本料理「慶喜」
お店HP
ぐるなび
広里 貴子さんの前菜 東迎 高清さんの献立 石橋 慶喜さんの献立

◆8月の前菜テーマ/立秋

前菜「立秋」<br />
・八尾枝豆と道明寺粉の重ね蒸し<br />
・鮑衣揚げ<br />
・あらめと凍蒟蒻の炒め煮<br />
・梅紫<br />
・太刀魚の山椒油漬け蛇篭巻き

【料理名】立秋

・八尾枝豆と道明寺粉の重ね蒸し
・鮑衣揚げ
・あらめと凍蒟蒻の炒め煮
・梅紫
・太刀魚の山椒油漬け蛇篭巻き


節分やお彼岸などいわゆる二十四節気といわれるものがある。これをさらに5日ずつに分けたものに七十二候がある。元来は中国で考案されたものだけに、日本に合わないところもあり、現在は新制七十二候が用いられている。今回の前菜ではこれをもとに立秋を表現。八尾枝豆を使った料理では、八朔(8月1日)に新米を贈る祝いの風習を取り入れている。道明寺粉を新米に見立て、枝豆には半助と昆布出汁が使われている。鮑を使った一品は、雨をイメージしている。蒸し鮑を調味ペーストにし馬鈴薯と合わし、真の部分にはサイコロ鮑と雨粒を表現したデラウエアが詰められている。アラメの料理は凍蒟蒻と合わせることで涼しげな食感を演出。梅紫は、青梅の種をくり抜き、渋抜きした紫蘇で梅を包み、中に紫蘇葉を射込んでいる。これを玉子の殻と共に砂糖漬けに。立秋の桔梗を色で表現。最後の太刀魚は20%の塩で漬け、マリネ状にした太刀魚を蛇篭蓮根で巻く(まとう)ことで、七十二候に云う、蒙霧升降(ふかききりまとう)を表現している。



【総評】

前菜に七十二候を取り入れるという発想が良いのではないか、という感想が相談役から聞かれた。会長からはレシピだけでは分らなかったが、形として表現されたものを見るとなかなか面白いという賛辞が。また会員からはそれぞれに狙いは分るが、道明寺のもちもち感が強すぎたのではないか。せっかくの鮑の料理だけにもう少し鮑の感じさせる工夫が欲しい。太刀魚の塩加減がきついのではないか、などの指摘もあった。梅紫の料理に対しては、素晴らしい、是非作り方を知りたいといった声が相次いだ。5日間の七十二候をそのまま料理屋が前菜で取り入れることはいろんな意味で不可能だろう。しかし七十二候に倣うことで、日々の料理にどういった食材を使うべきかのヒントとなるところは少なくない。
かつて大阪で俳味料理があったように、七十二候を現代に活かすことは意義あることだと言えよう。

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撮影/藤澤 了 文/笹井良隆