今月の献立 〈第49回〉 2015年 1月 |
新春の大阪料理会は、畑会長そして上野相談役からの新年の挨拶で始まった。回を重ねるごとに顕著になる新しい調理法や食材への取り組み。一方、昔ながらの日本料理人の仕事への見直しも同時に行っていく。今回はまさにそのような大阪料理会の姿を象徴する内容であったといえよう。 |
濱本良司さん 大阪あべの辻調理師学校 |
柚野克幸さん 西心斎橋「ゆうの」 |
坂本 晋さん 北新地割烹「味菜」 |
濱本良司さんの前菜 | 柚野克幸さんの献立 | 坂本 晋さんの献立 |
【総評】 彩りの美しさ、テーマ性の楽しさなどに賛辞が多くあった。料理への質問で集中したのが鰆の低温調理。しっとりした食感が驚きだったという声と共に、魚介の低温調理の必要性が論議された。肉ならば理解できる低温調理の長所も、魚介では逆に短所になりはしないか。仕出しや弁当などの仕事が多い日本料理では、作り手の意図に反して、焼けていない魚という風に捉えられてしまうのでは、という意見もあった。また「焼く」という昔ながらの日本料理法においては、焼きものならば「しっかりと焼く」ことが美とされてきたが、低温調理のような生調理と焼き調理との間をどう考えていくのかということへの提案なども出された。調理器具の進歩と共に様々な調理法が生み出されていくが、それぞれの調理法を日本料理の中でどう位置づけ、大阪料理としてどのように確立させていくのか。会員各々に感じるところ大であったのではないだろうか。 |
撮影/藤澤 了 文/笹井良隆