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大阪料理会とは 組織メンバー 今月の大阪料理 活動レポート
今月の献立 〈第55回〉
2015年 7月

今年も酷暑となった7月の料理会だが、会場には1時間ほど前から多くの会員が顔を出しはじめた。というのは畑会長の意向で、片町『はしま』の山本氏による「鱧の骨抜き」の実演が行われていたからだ。さて本会では土用らしいテーマが並び、「淀川天然鰻」を使った試作料理なども披露された。また今回からは大村屋製の胡麻による「胡麻の可能性に挑む」の新シリーズがスタートしている。


畑島 亮さん 畑島 亮さん
「キュイジーヌ大阪リョウ」
お店HP
城崎 栄一さん 城崎 栄一さん
「旬屋 じょう崎」
ぐるなび
小川 健さん 小川 健さん
『大阪あべの辻調理師専門学校』
お店HP
畑島 亮さんの前菜 城崎 栄一さんの献立 小川 健さんの献立

◆8月の前菜テーマ/処暑ノ頃

前菜「処暑ノ頃」<br />
・菱蟹蕃茄和え<br />
  ・水茄子すり流し<br />
  ・枝豆の綿揚げ<br />
  ・蛇篭天道虫<br />
  ・鯒の夏緑蒸し

【料理名】処暑ノ頃

・菱蟹蕃茄和え
・水茄子すり流し
・枝豆の綿揚げ
・蛇篭天道虫
・鯒の夏緑蒸し

8月、大阪では少し早いが菱蟹(わたり蟹)が顔を見せ始める。これを見ると大阪人は秋が近いことを感じるのではなかろうか。このワタリガニを使った料理では蟹身に、湯むきして種を除いたトマトそして玉葱による和えものとなっている。水茄子のすり流しは、昆布出汁をトマトウォーターで割っている。皮を除いた水茄子は卸し金でおろした後に調味されている。枝豆を綿揚げは、この時期の七十二候にちなんだ一品。塩揉みした枝豆をゆがいて身をだし、これをフードプロセッサーに入れ調味してひやし、バター等をつなぎにして微塵粉で揚げ綿花に見立てている。蛇籠天道虫は新蓮根でシャリを包むことで天道虫を表現している。鯒の夏緑蒸しは三枚に卸した身に根昆布の粉末をふりかけて蒸しあげている。刻んだ蓼の葉が美しい夏緑色となっている。




【総評】

彩り美しく、味わいも夏らしくさっぱりとした前菜という賛辞が多く聞かれた。彩りにこだわるという意味では、水茄子のすり流しではどうしても茄子特有のアクが色に出てしまう。直前にすり卸すというのもひとつの方法だが、ミキサーを利用してみても良かったのではないかという声もあった。鯒の夏緑蒸しは色合いだけでなく、もっちりとした食感が素晴らしく、また根昆布の粉末を使うという発想も面白いという感想があった。またフィンガーライムは通常は果肉部が使われるが、今回はスライスという形で皮の部分も使用されており、会員に強いインパクトを与えたように感じられた。最期に運営委員からは、蛇籠天道虫は面白いが、蓮根が籠になっていないので蛇篭のネーミングを変えた方が良かったのではないか、という指摘がなされていた。

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撮影/藤澤 了  文/笹井良隆