今月の献立 〈第56回〉 2015年 8月 |
少し秋らしくなった8月。重陽をテーマとした前菜にはいかにも秋ならではの彩りが感じられた。そして今回の食材テーマでは、かつてなかった「米」がとり上げられている。日々の暮らしや料理屋の仕事の中では、あって当たり前のこの食材。しかしそこには、まだ多くの可能性があることを会員各自が実感する定例会となったのではないだろうか。 |
濱本 良司さん 大阪あべの 辻調理師専門学校 |
板倉 誠司さん 東大阪「喜いち」 |
北野 博一さん 河内長野「喜一」 |
濱本 良司さんの前菜 | 板倉 誠司さんの献立 | 北野 博一さんの献立 |
【総評】 何とも秋らしい前菜、という賛辞が多く聞かれた。彩りも素晴らしく、極めて完成度の高い前菜ではないか、という評もなされた。各料理への意見としては、松風料理の中にクルミが使われているのは良いと思うが、切りにくいのではないかといった声。また子持ち鮎の料理では、大阪料理としては子持ち鮎を蒸した時の煮汁というものを、もっと活用する術があるのではないかといった指摘などもなされた。運営委員からは以前にも話題にのぼった旧暦と新暦についての話があった。旧暦としての重陽を新暦で見る。そこに生じる食材などの様々な問題。今後、日本料理として旧暦・新暦の捉まえ方をどうすべきか、再度考えていく必要があるように参加会員は感じていたのではないだろうか。 |
撮影/藤澤 了 文/笹井良隆