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大阪料理会とは 組織メンバー 今月の大阪料理 活動レポート
今月の献立 〈第59回〉
2015年 11月

立冬を過ぎての大阪料理会。立冬といえども、冬は名ばかり。この日もまさに秋本番という陽気。前菜は、そんな紅葉の時期に相応しい「錦秋」がテーマ。また今回、魚介のテーマとして大阪湾で漁獲量が急増している鰆が選ばれた。寒鰆としてかつて大阪で親しまれてきた食材を今一度、どのような形で料理するのかに注目が集まるところ。そして本会では、これも最近では姿を見せなくなった大阪名物の「牡蠣」料理の新たな試食提案がなされた。


坂本 靖彦さん 坂本 靖彦さん
「割烹さか本」
河村 幸貴さん 河村 幸貴さん
「割烹作一」
お店HP
城崎 栄一さん 城崎 栄一さん
「じょう崎」
ぐるなび
坂本 靖彦さんの前菜 河村 幸貴さんの献立 城崎 栄一さんの献立

◆11月の前菜テーマ/錦秋の饗

前菜「錦秋の饗」<br />
・蕪煮糸巻見立て<br />
  ・栗いが揚げ<br />
  ・小芋雲丹衣かつぎ<br />
  ・百合根和蘭芹入り黄身ネーズ焼<br />
  ・芋寿司

【料理名】錦秋の饗

・蕪煮糸巻見立て
・栗いが揚げ
・小芋雲丹衣かつぎ
・百合根和蘭芹入り黄身ネーズ焼
・芋寿司

錦秋の美しさ。自然の織りなす美しさだけれども、そこに何か神の姿を連想するのも一興。
古人は、そうした想いから春秋の彩りを司る二人の女神を想像した。それが春の佐保姫と、秋の竜田姫だとされている。いずれも平城京の東西に流れる川の名として知られている。
今回の前菜のポイントは秋の竜田姫と織物。天王寺蕪を糸巻に見立て、錦の糸を自家製の柚餅子・絹莢・人参で表現している。前菜の盛付けは、いわばこの秋野菜の錦織を取り囲むように色鮮やかな野菜の紅葉がちりばめられている風景となっている。また今回は、栗いが揚げでは生の栗を針打ちにし、栗いがに見立てるといった昔ながらの細かな仕事がなされているところも見どころのひとつだといえよう。




【総評】

前菜に物語性を持たせ、しかも前菜すべてを季節の野菜だけで表現するという試みに多くの賛辞が寄せられた。また、野菜だけのさらりとした前菜なのだけれど、その彩りと味わいの上品さが何とも素晴らしい、といった意見も聞かれた。蕪煮糸巻見立てに使われた自家製の柚餅子に対する質問も多くあった。
料理としては芋寿司の玉葱の食感が素晴らしいといった意見と、玉葱の使い方が非常に勉強になったという声もあった。この芋寿司では、一枚ずつはがした玉葱の表面の薄皮を丁寧にはがし甘酢に漬けている。
また運営委員からは「栗いが揚げだけでなく、塩雲丹と卵黄を合わせた天火で焼き上げた小芋雲丹衣かつぎなど、若い料理人にとって勉強になる昔ながらの仕事が多くあったのではないか」との評がなされた。

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撮影/藤澤 了  文/笹井良隆