今月の献立 〈第61回〉 2016年 1月 |
年明け最初の大阪料理会。新春らしく新たな試みやテーマが盛り込まれた定例会となった。新たな試みとは、試食順をこれまでのような担当別ではなく、コースの流れにそったものとしたこと。よって今回は、前菜に始まり茶菓(デザート)で終わるという趣向が取り入れられた。新しいテーマとしては、食材ではなく「糀(こうじ)」に着目。これを店でいかに料理に取り入れていくかが問われるものとなった。 |
古谷 文男さん 法善寺 割烹「花和清」 |
浦上 浩さん 割烹「石和川」 |
竹内 一二さん 堺「竹うち」 |
古谷 文男さんの前菜 | 浦上 浩さんの献立 | 竹内 一二さんの献立 |
【総評】 梅見月を前菜として表現。「梅のテーマが強く感じられた」など、その心のこもった力作に賛辞の声が多く聞かれた。前菜五品が描かれた訳だが、意見はもっぱらその表現方法ではなく、味に集中したようだ。例えば梅鶯では梅肉が使われているが、味わいとしてあまり感じることができなかった点への疑問。反対に筍と烏賊ノ木芽油焼きでは、木の芽油と叩き木の芽そして木の芽味噌と3重の木の芽の使用法について、味わい的にそこまで必要ではなかったのではないか、といった指摘もなされた。しかし、総評としては5品それぞれに盛り込まれた独創的なアイデアや感性、さらには手間をかけた細やかな仕事など高い評価がなされていたといえよう。 |
撮影/藤澤 了 文/笹井良隆