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大阪料理会とは 組織メンバー 今月の大阪料理 活動レポート
今月の献立 〈第66回〉
2016年 6月

今年は猛暑予想通りか、早くも6月の定例会は30℃を超えるかなりの暑さとなった。そのような中、涼を求めるに相応しい前菜が披露された。またテーマ食材では常とは違った「手作り蒟蒻」。蒟蒻に種々の食材を混ぜ込んだ昔懐かしい平野蒟蒻を再現させ、そこからどのような料理ができるか、という興味深い発表なども行われた。


城崎 栄一さん 城崎 栄一さん
吹田「旬屋 じょう崎」
ぐるなび
板倉 誠司さん 板倉 誠司さん
東大阪「喜いち」
お店HP
ぐるなび
広里 貴子さん 広里 貴子さん
「貴重」
お店HP
城崎 栄一さんの前菜 板倉 誠司さんの献立 広里 貴子さんの献立

◆7月の前菜テーマ「大夏 盛夏求涼」

前菜「大夏 盛夏求涼」<br />
・和泉蛸と星おくら 胡麻凝乳<br />
  ・八尾枝豆の枝豆加須底羅<br />
  ・鮎蓼肝味噌焼き<br />
  ・短冊毛馬胡瓜ひね皮香煎<br />
  ・泉州産穴子棒寿司

大夏 盛夏求涼

・和泉蛸と星おくら 胡麻凝乳
・八尾枝豆の枝豆加須底羅
・鮎蓼肝味噌焼き
・短冊毛馬胡瓜ひね皮香煎
・泉州産穴子棒寿司


大阪の夏の海と里山の幸を盛り込みながら、夏バテ防止にもつながるような前菜料理が五種披露された。先ずは疲労回復に効果が認められるタウリンを多く有する泉州の真蛸を使った料理。皮と吸盤を除いた蛸を千枚切りにし、おくらは八方出汁へ。胡麻クリームに、クコと松の実。暑さで弱った身体に何とも優しい。夏の定番である八尾枝豆は、擂り身がカステラの地に使われている。鮎料理では、身は風干しし焼き上げ、肝は玉味噌などと混ぜ鮎にのせることで味噌焼きとしている。毛馬胡瓜はこの時期、すでに終盤を迎えている。
そこであえてヒネて大きくなった毛馬胡瓜と青い毛馬胡瓜を合わせる一品するという面白い趣向となっている。ヒネ胡瓜は厚い皮を剥き、オーブンで焼きミキサーで砕くことでヒネ皮香煎とし、青い胡瓜は短冊に切り昆布塩水に漬けた後、これに先ほどの香煎を掛けている。泉州穴子はここでは、寿司酢に酒粕から作られる赤酢が使われている。栄養素が多く身体に良い寿司酢で作った棒寿司は、盛夏に嬉しい一品と云えよう。




【総評】

夏らしく、しかも大阪らしさがふんだんに詰まった前菜、との賛辞が多くあった。料理としては夏なので全体にもう少し酸気があってもよかったのでは、という意見があった。中でも泉州の蛸料理では蛸の甘味が引き出せればさらに良かったのではないか、との評もあった。また八尾枝豆のカステラは面白いが、カステラとするならもっとそれらしいシットリ感がほしかったとの声もあった。質問としてはヒネた毛馬胡瓜で作った香煎に集中した。
通常では捨ててしまうヒネ胡瓜の皮から、こんな素晴らしい香煎ができる。しかも胡瓜の皮だけで何の調味もなされていないにもかかわらず、味に深みがあり香りに独特な良さがある。オーブンでの細かな温度や時間などの質疑が繰り返された。最後に運営委員からも、この毛馬胡瓜の料理はある意味驚きであり、また素晴らしい仕事だと感じた、との感想が寄せられていた。

  大阪料理会




特別テーマ 〜ワインに合う日本料理を考える〜

◆第二回に提案されたテーマと趣旨:「添え垂(だ)れ」と「和え衣」

ワインに合う料理を考えるには、まずはその調味料から見直す必要があるのではないか。そこで日本料理で使われる醤油を、ワインに合う醤油へと変えてみる試み。次にワインに合う「和え衣」としては、玉葱に白髪葱など「葱」がポイントなるのではないか。そこで葱を使ったワインに合う「和え衣」の二品が試された。


<評>
これが白ワインならどうなっていたか。白ワインなら同様に煮詰めれば塩加減だけで面白い添え垂れもできるのではないか、という意見があった。またこの提案が非常に汎用性が高いもので、様々なワインに合う添え垂れの幅を拡げるものであるという賛辞も多く聞かれた。

大阪ワイン醤油

<担当会員:城崎栄一氏>

発想の原点は、日本古来の「煎り酒」。煎り酒は醤油が未だ普及していない時代から長く造身の添え垂れとして使われてきた。そこでこの煎り酒からヒントを得たのが今回のワイン醤油。地域のワインは地域の料理にマッチする。そこで大阪産の赤ワインを火にかけて3割程度にまで煮詰めていく。そこに淡口醤油を煮詰めたものを赤ワインと同割量入れてひと煮立ちさせる。最後に追い鰹をし、濾したものを1日程度置いてなじませて完成。ワインで造身を楽しみたいという客へのひとつの提案。


大阪料理会


撮影/藤澤 了  文/笹井良隆