今月の献立 〈第74回〉 2017年 2月 |
日本料理に季節感と旬の食材は欠かせないが、ほぼ十日毎に変化する旬の味わいをどこに求めるべきかが難しいところ。今回の前菜ではそうした旬をあえて狭間に求め、「走り」「盛り」「名残り」の各旬味を表現する試みがなされた。また特別テーマでは前回と引き続き「棒鱈」が、そして今回初となる「香茸」がどのように料理されるかが見どころとなった。 |
坂本 靖彦さん 北新地「さか本」 |
小河原 陽一さん 「一陽」 |
菰田 昌寛さん 「梅廼家」 |
【総評】 「圧力鍋では絶対に出ない味」という賛辞が多くあった。また運営委員の中からは「まさに職人の技がなせる食感であり味わい。牛蒡は食感がなくてはというのは、それは家庭における牛蒡の味わい。しかし、プロの牛蒡料理が家庭と同じであってはいけない。職人技とはそうしたもの」という評が述べられた。また味わいについては「味の入れ方が絶妙。濃い味わいではないが、確かに味は入っている」といった感想が多くあり、煮方のコツを質問する会員が多い中、坂本氏は「店では砂糖量をまず決め、そして覚えさせる。他はその後に自ずと続いていくと思う」など煮方に対する持論を語った。 |
【総評】 「酢を使わずに酢もの料理、ユニークな発想に脱帽」「一口食べて、これは旨いと思った。まさに日本のサンラータン」といった好評が続いた。また乳酸発酵についての質疑応答が行われた。発酵なので冷蔵庫ではほとんど発酵しなかったことや、温度調整しながら好みの酸味を加減していくことの大切さなどが、小河原氏から述べられた。運営委員の中からは「今回は先取りで蛤が使われたが、今が寒の入でもっとも貝が痩せている時、これから旬を迎える春時期だと浅利でも充分にいけるのではないか」とのコメントが寄せられていた。 |
特別テーマ 〜次代へ繋ぐ和食材十選〜
◆第3回に選択されたテーマ:『棒鱈』と『香茸』
撮影/藤澤 了 文/笹井良隆