今月の献立 〈第93回〉 2018年 9月 |
九月は台風シーズン。しかし、今年は台風が大型化し多発しているということ以上に、気候そのものが大きく変化したような気がする。季節感が薄れつつある現代だけに、日本料理のあるべき季節感というものを料理人自身が正さなくてはならないのではないか。さて、十月の前菜は大阪北部の能勢の食材にスポットをあてたもの。テーマ食材にも同地域の原木椎茸と秋に旬を迎えた天然鰻、そして蜆の試作料理が発表された。 |
野村俊輔さん 『花錦戸』 |
小川 健さん 辻調理師専門学校 |
中村正明さん 和洋遊膳「中村」 |
特別テーマ 〜知られざる郷土食材を和する〜
第16回:徳島県「そば米」 中村正明氏の献立
そば米は徳島県の名産で、特にそば米を使った「そば雑炊」は祖谷(いや)地方の郷土料理となっている。祖谷をはじめとする地域は、高い山に囲まれて米が作れないことからそばの栽培が古くから行われていた。ただ、この地域では収穫したそばを粉にしないで、実を塩ゆでして殻をむき乾燥させていた。それが「そば米」である。
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そばがきのそば米揚げ そばがきは、フライパンにそば粉と水を入れ合わせて強火で煉り上げ、香りと艶が出ればこれを丸にとり、卵白・そば米を付けて揚げる。本かえしを作り出汁を10の割でのばして温める。 |
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そば米粥 そば米を使った粥は、そば米を昆布出汁で10分程度焚き、吉野葛でとろみをつけ、叩き梅を添えている。 |
撮影/藤澤 了 文/笹井良隆