今月の献立 〈第98回〉 2019年 2月 |
日本料理における新しい領域を拓くということは重要なこと。ただ、それを未知なるものに求めるという一方向では本当の新領域を拓くことはできないのではなかろうか。今回は、そうした領域を「淡水」の魚介に求めるという挑戦が前菜料理においてなされた。また、テーマ食材には春らしい「蛤(はまぐり)」や「さごし」が。これらも非常に大阪的な食材であるといえよう。 |
長内敬之さん 旬鮮和楽 さな井 |
板倉誠司さん 旬菜 喜いち |
上野修さん 浪速割烹 喜川 |
特別テーマ 〜知られざる郷土食材を和する〜
第21回:「
滋賀県発祥の鮒寿司は非常にクセ(特徴)のある発酵食品として有名。そして、この鮒寿司の飯には身体に良いとされる多くの乳酸菌が確認されている。鮒寿司は高価な食品ではあるが、最近ではこの鮒寿司の飯だけを比較的安価に販売する商品化などもなされている。今回は、そんな鮒寿司の飯を使った試作料理が披露された。
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金目鯛の 金目鯛は薄塩して脱水シートをかけ、厚い目の二枚包丁に。雲子の真薯を作り、挟んで金串を刺して焼く。仕上げに鮒寿司の飯を昆布出汁でのばした垂れで掛け焼きし、蕗の薹を香りとしている。この垂れ焼きは、食材によって風味を引き立てる効果も変わるようで、上野修氏によると、本来は甘鯛を使って河豚の白子で垂れ焼きとすることを推奨したい、とのことであった。 |
撮影/藤澤 了 文/笹井良隆