◆3月のテーマ食材「木の芽 このこ 胡麻豆腐」 松尾英明氏の献立
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木の芽だれ 飯蛸煮 独活酒煮
日頃の仕事を今一度見直してみる。それは、ほかの料理人の仕事との比較検討の中からこそ得られる貴重な時間なのである。そうした問いかけが今回のテーマであったと思われる。まずは、春時期の木の芽をどう扱うか。生のままでの使用だけではなく、ここでは木の芽ダレという考え方が披露された。酒と葛、そして塩。これを木の芽、太白ゴマ油と共にハンドミキサーにかけて乳化させている。このタレには木の芽の薫りや独特な苦みまで全てが内包されている。
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このこだれ 平貝 菜の花
次に披露されたのが、このこ。珍味かつ高価とされるこのこだが、これを酒煮にしている。このこならではの強烈な旨みがタレの中に凝縮されている。
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【総評】
「テーマはもちろんだが、テーマ以外における飯蛸や独活などの処理についても非常に勉強になった」とする声が多くあがった。ことに、蛸の火入れについての質疑応答が数多く寄せられた。松尾氏からは「日本酒と水を同量に合わせ、ヒガシマルの特選丸大豆うすくちしょうゆと味醂、そして砂糖で調味した煮汁を、60〜63℃にキープしながら脚は約5分、胴は20分程度加熱し、陸上げする」などの細かな調理法に関して語られた。
また胡麻豆腐では、運営委員からは、「さらしで濾したものを昆布だしの中でもみ洗いしている」など、多くの自店における作り方などが紹介された。
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胡麻豆腐
最後に披露されたのが胡麻豆腐。大村屋製のむき胡麻をフードプロセッサーにかける。水溶きした葛粉、これにすり胡麻を煉るように混ぜ合わせていく。さらに裏濾ししていくなど、詳細なる手順が紹介された。料理人各々に最上とする胡麻豆腐の在り方は違って当然だが、どの行程にどれだけこだわるかが味わいとなって出てくるのだろう。
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岩手県遠野市の暮坪地区で400年にわたって栽培されてきたとされる長根の蕪。辛味が強いことから、蕎麦などの薬味としても使用される。最近では、魚介の旨みを引き立てる意味合いから、山葵に代わる食材としても注目を集めている。