amakaratecho.jp   www全体
大阪料理会とは 組織メンバー 今月の大阪料理 活動レポート

第100回記念 大阪料理会 〜千里山 柏屋〜

第100回記念 大阪料理会
今月の献立 〈第100回〉
2019年 4月

第100回目の大阪料理会定例会は、会場を千里山にある料亭『柏屋』へ移し、開催された。通例の試作料理の発表に続いて、百回を記念しての祝賀会が催された。第1回大阪料理会から8年以上。発表された数100におよぶ料理の数はもちろんだが、そこで行われた無数の議論や検討、そして何より日常の業務とは別に会員自らが与えられたテーマに挑むという数多くの体験の積み重ねこそが比類ない価値となっているのではないだろうか。



広里貴子さん 広里貴子さん

貴重

お店HP
小河原陽一さん 小河原陽一さん

島之内 一陽

ぐるなび
柚野克幸さん 柚野克幸さん

西心斎橋ゆうの

ぐるなび



◆テーマ「祝膳三様盛り 壱ノ枡」  
祝膳三様盛り

【料理と総評について】

「桜鱒竹粉味噌焼」は、荒味噌を酒、味醂などで調味し、竹パウダーを加えた漬床を作り、これに桜鱒の切り身を漬け込み、冷蔵している。
「穴子豆腐巻繊仕立」は、白煮した穴子に豆腐生地とすり身を合わせて巻き簀で巻き、白胡麻化粧としている。
「鶏松風 フォアグラ味噌漬」は、鶏ミンチを赤ワイン、そして淡口醤油・たまり醤油・砂糖・生姜で炊き上げている。フォアグラは55℃の低温で湯煎。これを味噌床に1週間漬ける。先のミンチ、そしてフォアグラをミキサーにかけて生地とし、巻き簀で巻き、蒸し上げ、黒胡麻化粧で松風仕立としている。
総論としては、全体に春、そして初夏を感じさせる料理。なかでも大阪らしい和洋を併せ持った松風に質問が多く寄せられていた。

柚野克幸氏の献立

・桜鱒竹粉味噌焼
・穴子豆腐巻繊仕立
・鶏松風 フォアグラ味噌漬


大阪料理会
大阪料理会




◆テーマ「祝膳三様盛り 弐ノ枡」 
祝膳三様盛

【料理と総評について】

「豚肉桜蒸し 昆布〆桜人参」は、桜の葉で包んだ豚フィレを、梅酢・昆布だし・淡口醤油を合わせたものと共に真空し、59℃で約1時間の火入れを行っている。昆布〆桜人参は、人参を桜型に抜いたものを薄塩し、昆布〆としている。
「桜鯛果実巻」は、塩をした鯛の上身を菜種油に漬け、油分を除いた後、そぎ切りにしている。苺は砂糖に漬け、脱水し、火にかけ灰汁をとる。水気を除いたものを110℃のオーブンで乾燥させ、さらに天日で3日程度干している。塩茹でしたウルイは細切りにして醤油と黒酢を合わせた床に漬ける。先ほどの鯛でウルイと柑橘の実(安政柑)をほぐしたものを巻く。
「めえ 独活酢漬け」は、大阪好みで縁起の良いアラメを茹で、鶏だし・酒・味醂などで炊いている。これをゼラチンで寄せ物としている。油揚げはあまからに炊き、桜花びらに抜いている。下茹でし甘酢漬けした独活が添えられている。
総評としては、大阪を意識した祝い料理であるとの声が聞かれた。また「めえ」を寄せ物として料理するなど発想も面白く、参考になったとするコメントもあった。

広里貴子氏による献立

・豚肉桜蒸し 昆布〆桜人参
・桜鯛果実巻
・めえ 独活(ウド)酢漬け


大阪料理会
大阪料理会




◆テーマ「祝膳三様盛り 参ノ枡」  
祝膳三様盛

【料理と総評について】

「菊芋奈良漬大福」は、酒粕と米味噌の合わせ床を作り、菊芋を漬ける。大豆を戻し、水・砂糖・醤油で炊き、これを裏濾して餡としている。求肥で大豆の餡と菊芋の奈良漬けを刻んだものを包み大福としている。
「鯛子ゼリー寄せ胡麻豆腐」は、鯛の子は淡口醤油・砂糖・水で炊き、そのだしに胡麻ペーストを入れアガーで固めている。鯛の白子は蒸して裏濾し、玉子とメレンゲ、鯛の子のだしを合わせて炊く。これで鯛子ゼリーを巻いている。
『赤飯祝い寿司 青蓼山椒味噌和え』は、すり鉢で青蓼を当たり、白味噌を加え、これに粉山椒を入れて裏濾している。赤飯は小豆と米に昆布を加えて炊く。寿司酢と合わせ鰻で巻いている。
総評としては、祝膳に相応しい料理であったという声のほか、大福がとてもふんわりとした感じに仕上がっていたので驚いたとする意見や作り方についての質問が寄せられていた。

小河原陽一氏の献立

・菊芋奈良漬大福
・鯛子ゼリー寄せ胡麻風味
・赤飯祝い寿司 青蓼(アオタデ)山椒味噌和え


大阪料理会
大阪料理会




大阪料理会 第100回定例会開催記念祝賀会

第100回記念 大阪料理会 第100回記念 大阪料理会 第100回記念 大阪料理会

通例の試作発表が終わった後、第100回定例会開催を記念しての祝賀会が催された。
開宴にあたって同会の畑会長より挨拶があり、そのなかで「奇しくも100回が平成最後の月の開催となり、新たな元号の下で101回を開催できることは非常に喜ばしい」と述べた。続いて上野相談役が挨拶に立ち、「大阪は日本料理の発祥の地であり、大阪で日本料理を志すものは、誇りと共にその重責をも担って今一層の努力を」と文面を読み上げた。その後、湯木副会長による乾杯の発声で祝賀会が行われた。

本祝賀会を記念し、会場(柏屋)の主人であり、運営員でもある松尾英明氏より以下の挨拶文が披露された。
「今年は『平成』の世が暮れることなく、五月より令和の世となります。万葉集を典拠とした令和の令は、奈良県万葉文化館によれば『嘉』と同じで良いという意味と聞きました。良く調和のとれた、と解してもよいのでしょう。大阪料理会は奇しくも平成の世に百回を数え、大きな節目を迎えます。そして令和元年の初めの月は百一回目から始まります。この先もさらに『良く調和のとれた』素晴らしい会の活動を重ねてゆくことを祈念いたします。今日のこのひと時が会員一人ひとりにとって百穀の春雨となり、豊かな実りに繋がることになれば幸いに存じます」。



撮影/藤澤 了  文/笹井良隆