【総評】これからの日本料理のだしの行方
「見た目も夏らしい料理」「各料理とも、海老に穴子に小鮎など瓜との相性を重視し、考え抜かれた試作。センスが感じられる」などの評が多かった。運営委員からは「穴子の越瓜巻き焼きというのはおもしろい。ここでは海老の叩き身が使われているが、豆腐を使ってみても良かったのではないか」とする意見があった。他の運営委員からは「瓜と鮎という夏の食材の合わせ方が絶妙。パリッとした瓜の食感が感じられる処理も見事。冷酒が欲しくなるような冷菜盛り。前菜や突き出しには最適」との賛辞が贈られた。
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・越瓜と南京の羽二重巻き 生姜酢掛け
・穴子の越瓜巻き焼き
・小鮎越瓜蒸し
大阪では、なにわの伝統野菜として二種の瓜が認証されている。ひとつが三島地区で栽培されてきた「服部越瓜」、そしてもうひとつが環状線「玉造」駅周辺で栽培されていたとされる「玉造黒門越瓜」。前者は身が薄い白瓜で、後者は縞目のある肉厚な白瓜。
玉造黒門越瓜の名の由来は、その畠場が大阪城の黒門付近にあったことに由来している。今回はそんな玉造黒門越瓜を使った夏らしい三種の冷菜盛りとなっている。
まずは越瓜と南京の羽二重巻き。桂剥きにした瓜と、若採りした勝間南京を薄切りにして、塩水に30分つけている。これをだしと米酢、淡口醤油、砂糖を合わせた地に漬け込む。
むき海老は包丁で叩き、千切りした柴漬けと合わせて蒸しあげ、越瓜で巻き、南京を帯状にかぶせ、生姜酢を掛ける。穴子の越瓜巻き焼きは、瓜を約1センチ幅に切り、昆布を入れた塩水に漬け込んだ後、一晩干している。穴子を開き、瓜を八幡巻きの要領で巻いて、タレで焼いている。
小鮎越瓜蒸しは、天ぷら衣をつけ揚げた小鮎とおろした瓜を、塩、淡口醤油で下味をつけ、泡立てた卵白と合わせ、強火で五分蒸しあげ、銀餡をかけている。
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