【総評】
「彩りが美しく、季節も感じられる」「トマトを豆腐にするという発想がおもしろい」といった賛辞が多く聞かれた。また、中玉か大玉かなど、どのようなトマトを店で使用しているかが話し合われた。運営委員からは「ソースにも大玉トマトが使用されているが、トマト本来の酸味をもっと移す方が良かったのではないか」とするアドバイスが聞かれた。さらに畑会長からは「トマトといえば、その魅力は鮮度。つまりフレッシュ感にある。そこをもっと食べ手に感じてもらえる工夫があればさらに良かった」とのコメントが寄せられた。鱧の揚げおとしでは、トマトとカルピスを合わせるのは驚きの発想という声が多数あった。妙な取り合わせとも思えるが、カルピスは日本の発酵食品であり、夏を演出するものであることを考えるなら、それもまた手法としてあって良いのかもしれない。
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・蕃茄豆腐
・鱧 揚げおとし 軽比酢ノ葛掛け
蕃茄豆腐は、冷凍したトマトの皮をむき、裏濾している。これをゼラチンと合わせるのだが、2%と5%で合わせた2つに分け、2%は冷蔵庫へ、5%はボールに入れて水に浸し、固まる直前にメレンゲを加え、型に流して冷凍庫へ入れる。冷凍庫から取りだして切り分けたトマト豆腐に、2%の配合で作ったとろみのあるトマトソースを掛け、オクラ、バジルシード、雲丹を添えている。
もう一品は、裏濾した大玉トマトにカルピスを加え、葛でとろみをつけ、片栗粉・塩をふって揚げた鱧に掛けている。カリッとした鱧の食感とトマトの酸味が何とも夏らしい。
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