【総評】
「白味噌仕立てで味わえる海老芋は、いかにも大阪料理らしい」といった評が多く聞かれた。参加会員から「白味噌は合わせてすぐに供すべきものか、少し煮合わせて様子をみるべきものか」などの白味噌仕立てへの質問があった。これに対して北野氏は、「白味噌そのものの状態によっても左右する問題。というのも白味噌は夏に塩分が多くなり、秋冬は反対に甘くなる。これは製造する店にもよるが、京都の老舗白味噌店では少なくともそうである。料理人はその時の白味噌の状態を確認しながら煮方を変える必要があるのではないか」との説明がなされた。
また、運営委員からは「白味噌についていえば、大阪は京都のような良質な白味噌が入手困難な時代があった。そこで料理店では購入した白味噌に白米を裏濾したものをブレンドするなど、店ごとの白味噌づくりが行われきた」などの白味噌にまつわる話が紹介された。質問の中には「一般的に白味噌仕立てには溶き芥子(からし)がつきものだが、今回は胡麻が添えられ、薫りや味わいに変化があり、非常に面白かった」との意見に対し、北野氏から「白味噌にむき胡麻を細かく砕いたものを添えるのは茶事でのこと。風味のある胡麻を是非一度、白味噌に合わせて見てはどうか」とのアドバイスがなされていた。
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自然薯(山の根) 生海胆(ウニ)
風味つみれ揚げ
もうひとつは自然薯を使った料理。自然薯とはいうものの、山に自生しているものを掘りあげた本当の自然薯が市場に出回ることはほとんどなくなってしまった。今回は北野氏の地元・河内長野で採れる自然薯での試作を予定していたが間に合わず。他県産の半自然栽培のものが使用された。自然薯をすり鉢でなめらかになるまで摺り、これに葛だし(二番だしに葛を加えたもの)、卵白、淡口醤油、最後に生ウニをあたり棒で摺っている。丸にすくい取り、油で揚げ、つみれ揚げとしている。煎りだしに薬味、もみじおろし、芽ネギをのせている。海老芋らしい旨さに生ウニの風味がプラスされ、料理のグレードを引きあげている。
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