今月の献立 〈第45回〉 2014年 9月 |
9月の大阪料理会、前菜では深まりゆく秋を錦秋として表現した料理が披露された。そして同月には大阪の泉州各地区では「だんじり祭」が行われる。今回の大阪料理会では泉南で活躍する2名の会員がテーマを担当することとなり、食材には自ずと秋祭を感じさせるものが撰ばれた。中でも泉州ならではの「エソ」を使った伝統的な祭り料理などは会員の関心を惹いた。 |
山本 英さん 片町「はしま」 |
佐野 亨一さん 泉南「菜の菜」 |
松本 成寿さん ホテルグランヴィア大阪 |
山本 英さんの前菜 | 佐野 亨一さんの献立 | 松本 成寿さんの献立 |
【総評】 前菜料理は味わいだけでなく、「目で見る造形の楽しみ、色を愛でる色彩の楽しみ、ほのかに漂う料理からの香りの楽しみ」が求められる。今回の料理はまさにそうした楽しみを錦秋というテーマでまとめ上げたもの、との意見が多くあった。各料理については、抹茶きんとんでは、抹茶の味わいが少し薄すぎるのではないか、錦寿司は全体のバランス的に少し大きすぎたのではないかなどの感想も聞かれた。また料理としての会員の関心は、鱧の骨抜きに集中した。山本氏が自身の骨抜きの手法を話すと共に、各会員が考える鱧の骨抜き法なども討議された。骨抜きされた鱧は、京都では薄造り的に扱われることが多いが、今回は厚めで弾力が感じられ骨抜き鱧の良さを実感した、という感想もあった。最後に畑会長からは、「前菜という料理の位置づけを考えると、最初から美味しすぎるというのではなく、全体の味のバランスも考えたい」といったコメントも付け加えられた。 |
撮影/藤澤 了 文/笹井良隆